パイロットは飛行中に余裕をもって考える間もなく様々な決定をくだしていく。そして、ほんの些細な問題が致命的な結果をもたらすことがある。台湾の旅客機が墜落。川に向かって真っ逆さまに落ちていく機体を通りかかった車のドライブレコーダーがとらえた。存在しないトラブルを警告されたKLMの乗組員は、思わぬうちに致命的なエラーの連鎖を引き起こす。革新的な新型宇宙船が冒した一瞬の判断ミス。大惨事が超音速で展開する。
正しい飛行のためには精密さと正確さが必要だ。そのためコックピットの重要計器が信頼できなくなれば、致命的な結果につながることがある。ボーイング737型機が、世界で最も人里から離れた地域の1つでレーダーから消えた。韓国の貨物ジェット機は離陸直後にイギリスの田園地帯に墜落した。そして、経験の浅い乗組員が、深夜、ロシア上空を飛行中に恐ろしいエラーに遭遇。そのエラーは瞬く間に山積みになっていく。
重要人物を巻き込んだ墜落事故は世界的なニュースになり、調査官たちは全世界の視線とすさまじいプレッシャーに晒されながら答えを見つけなければならなくなる。極秘任務を帯びた外交官が謎の最期を遂げ、その原因は何十年も秘密に包まれた。ブラジルの有名サッカーチームを乗せたパイロットが命を賭けたフライトを敢行するが悲劇に終わる。そして、要人を乗せたアメリカ空軍のジェット機が戦争で混乱するクロアチアで墜落した。
3件の恐ろしい航空事故の原因が重要な安全管理上の過ちにあったと判明したことが、世界中の空港のセキュリティ手順を抜本的に見直すことにつながった。カリフォルニアの丘陵地で旅客機が墜落し、調査官たちは残骸から決定的証拠を見つける。エア・インディアのボーイング747型旅客機が大西洋上空で爆発した。この墜落は当初からテロ攻撃が疑われた。そして、台湾では近距離旅客機が通常通り着陸した直後に火災を起こした。
3件の恐ろしい墜落事故の原因を調べた調査官たちは、航空機が山に激突するのを防ぐように考えられたその操作自体に致命的な欠陥があることを明らかにした。ネパールに向かったタイ航空の旅客機が何故か間違った方向に飛んでヒマラヤに激突した。中国の旅客機は韓国の空港から数キロ離れた丘に激突した。そして、フランス国内線のエアバス機がストラスブール近郊に墜落。ハイテク機にも致命的な死角があることがわかった。
3件の航空機墜落事故の残骸から脱出した生存者たちが悲惨な事故の状況を語り、緊急時に行うべきことについての重要なデータを提供してくれる。嵐に打ちのめされたサザン航空DC9はエンジンが停止してジョージア州の高速道路に不時着した。デンバーでは、コンチネンタル航空の737型機が離陸滑走中に突然滑走路を逸脱して大破した。そして、グアムに着陸進入中の大韓航空747型機が滑走路手前の丘陵地に墜落した。
空中で起きる事故は悲劇だが、それが人々の上で起き、真下の住宅街や群衆に雨のように降って来れば恐怖に変わる。ネバダ州リノで開催された航空ショーで、スリリングなリノ・エアレースを楽しんでいた観客のスタンドに悪夢が襲い掛かった。メキシコシティの中心部に政府がチャーターしたリアジェットが墜落。金融街が火災に包まれた。そしてロサンゼルス市郊外の住宅地では、小型機と空中衝突したDC9型旅客機が墜落してきた。
アイオワ州上空でエンジンが爆発して油圧装置を失うDC10。エアバスA380の巨体が爆発で揺れ、カンタス航空32便の乗務員は次々に鳴る警報に圧倒される。ノースウエスト航空の747型旅客機がベーリング海上空3万5千フィートを飛行中に想定外の事態に巻き込まれる。飛行中に発生した深刻なシステム障害。この3つの事例では驚くべき勇気を発揮してその試練を乗り越えたパイロットの行動に光を当てる。
機体整備の基本をおろそかにすると大惨事につながることが、この3つの墜落事故でも証明される。14人を乗せたエンブラエル機は整備士の判断ミスによりテキサス州上空で恐ろしい事故に追い込まれる。整備ミスとコッターピンの紛失が原因で、貨物機の3人のパイロットは生死を賭けた戦いに巻き込まれる。そして、北海上空で消息を絶った双発ターボプロップ機を追う調査官は地球の裏側にある犯罪組織を暴くことになる。
航空機事故においては離陸の際の些細なミスが悲惨な結果を招くことがある。そのことを3件の事例を通して検証していく。台風が急速に接近する台湾で、ボーイング747が離陸に失敗して滑走路上に墜落した。デトロイトでは、DC9が滑走路に1キロ半にもおよぶ焼け焦げた残骸を残しながらかろうじて離陸した。マドリッドでは軽微な修理を受けて離陸しようとしたパイロットが注意散漫により致命的なミスを犯してしまったのである。