宇宙終焉~3つのシナリオ

原題:Death of the Universe

番組内容

★ナレーション:池田秀一(声優・俳優、代表作「機動戦士ガンダム」シャア役など)

宇宙の最果てで、宇宙全体を破壊する可能性を秘めた激しい戦いが起きている。戦っているのは、宇宙を原子レベルに細かく破壊してしまうほどの強さを持つ“暗黒物質”と“暗黒エネルギー”だ。現代科学においては、「大きく膨張した宇宙は“宇宙大収縮”を起こし、いずれは元のサイズに戻るだろう」という理論が主流のため、暗黒物質と暗黒エネルギーの発見にともなう仮説が重要視されてこなかった。

それらの説とは、もし暗黒物質が暗黒エネルギーを補いながら宇宙をゆっくりと膨張させていったなら、星は消滅し、徐々に光も消え、最後には暗く冷たい生命の存在しない宇宙が残るという説や、暗黒エネルギーが急速に加速しながら宇宙を膨張させ続けるとすべてが宇宙の基本素粒子レベルの大きさに分解されるという説など。現在、宇宙の最期は500億年後と予測されているが、今後も宇宙の起源と終わりについて科学者たちは論じ続けていくだろう—

【宇宙の始まり】
●1929年、エドウィン・ハッブルは当時世界最大だった望遠鏡を覗いて「宇宙が膨張している」という発見をし、天文学の常識を一変させた。
●エドウィン・ハッブルの発見以前、宇宙は不動かつ不変のものと科学者たちは考えていた。宇宙の膨張という発見は、宇宙に出発点があること、そして宇宙の始まりを特定すること可能であることを意味した。
●ビッグバンとは、原子よりも小さい最初期の状態だった宇宙が、一瞬の爆発によって一気に膨張したとする理論。

【ビッグクランチ】
●ビッグクランチとは、ふくらんだ風船の空気が抜けたように、宇宙が徐々に重力によって縮み、全ての物質が潰れて火の固まりのようになって終わるという理論。
●宇宙には、外に向かって自身を押し広げるエネルギーがある。がしかしビッグクランチ説では、ある時点で宇宙の膨張が止まり、自身の重力によって収縮していく、そして宇宙はビッグバンの前の不安定な状態に戻るという。つまりは、創造と破滅が永遠に続くという考え。
●宇宙論者は、宇宙が崩れないように保っている何らかのエネルギーが存在し、それがビッグクランチを防いでいるかもしれないと予測している。そのようなエネルギーが存在するならば、宇宙を構成する物質や宇宙の終わりについて、また新たな理論が考えられるだろう。

【ビッグチル】
●ビッグチルとは、すべての恒星を動かしている核エネルギーが燃え尽きて、やがて宇宙は冷たくなり終わりを迎えるという仮説。どんどん膨張を続ける宇宙は冷たくなり孤独な状態になる。
●ビッグチルでは、膨張を続ける宇宙の中で地球は孤立した冷たい惑星と化す。星と星の距離は時間とともに離れて地球から見えなくなり、最終的には宇宙の全てが凍りついて終わりを迎える。
●ビッグチルのシナリオによれば、核を燃やしきった太陽が暗くなると地球から太陽の光が失われる。地球は凍りつき一切の生命が存在しなくなる。そして人類が消えた数十億年後には、地球から見える星はなくなり、宇宙に残っているのは誕生してから間もない恒星だけになる。宇宙を動かしていたエネルギーは燃え尽き、そして暗い宇宙は膨張し続け、かつてはエネルギーに満ちていた宇宙は冷たい宇宙と化す。

【ビッグリップ】
●アインシュタインは、宇宙には、私たちの目に見えているよりも多くの質量があり、さらに光さえも逃れることのできない超重力が存在していると考えた。それは光さえも吸い込む目には見えない超重力の空間で、その力こそが宇宙の壊滅的な終焉の原因となるかもしれない。
●近年の技術で撮影したより鮮明な画像が、宇宙は膨張しているだけでなく速さが増していることを突き止めた。そして、宇宙にはダークエネルギーという見えない力があるということも判明した。収縮を促す重力とは逆に、膨張を促す力のあるこのダークエネルギーが、宇宙終焉を招くカギとなるかもしれない—。
●宇宙のすべてを一点に引き寄せようとする暗黒物質の力と、宇宙を引き裂こうとするダークエネルギーのせめぎ合いが宇宙を終焉に向かわせている。もしこの戦いにダークエネルギーが勝てば、宇宙は原子レベルまでバラバラに裂ける。
●ビッグリップのシナリオ通りもし宇宙が勢いを増していくと、500億年後、宇宙はバラバラになり、遠くの星や銀河は互いに引き離される。宇宙が終焉を迎えるとき、星、惑星、そして原子さえもが引き裂かれることになる。