ナショナル ジオグラフィック

コラム

第5回
ハイエナの誤解

ブチハイエナの世界では群れを率いるリーダーのメスが、生活のすべてを支配します。リーダーは自分の地位をはっきりと示し、攻撃的な態度で他のメンバーを服従させます。

ナショジオワイルド『ザ・プレデター2〜仁義なき戦い〜/ハイエナ』より

皆さんはハイエナにどの様なイメージを持っていますか?
ハイエナといえば、「獲物を横取りする。」「死肉を漁る。」「骨までしゃぶりつくす。」といった、悪者でダーティーなイメージを持っている人が多いのではないでしょうか?しかし、実際のハイエナは全てそうではありません。

アフリカを中心に生息するハイエナには大きく分けて4種類います。中には白アリを主食とするアードルフという種類もいます。そして我々がよくテレビ等で目にするハイエナにブチハイエナという種類がいます。

ハイエナが一度に産む子供は最大でも2頭です。メスはオスより体が大きく、力も強くなり群れの上位に立ちます。

ナショジオワイルド『ザ・プレデター2〜仁義なき戦い〜/ハイエナ』より

「ハイエナ=横取り」のイメージですが、実はこのハイエナは非常に狩りが上手く、6割以上の食べ物を自分達でとっているといわれています。ライオンよりもハント率は高く、逆によくライオンから横取りされる事があるようです。(勿論、食べ物を奪い合うのは自然界では当り前。とここで軽くライオンをフォロー。)つまり決して横取りばかりしている訳ではないのです。

そして、僕がハイエナの素晴らしいなと思う所は、その噛む力と歯の強さです。ハイエナはとても強力なアゴと歯を持っていて、他の肉食動物が食べない、いや食べれない骨をかみ砕く事が出来るのです。そしてそれを消化する事の出来る胃を持っているのです。骨にも栄養が沢山あります。死肉も時間の経過と共にどんどん硬くなっていきますが、ハイエナのアゴと歯があれば何の問題もありません。

ハイエナのアゴは1平方センチあたり70キロの力があり、硬い骨も、かみ砕くことができます。

ナショジオワイルド『ザ・プレデター2〜仁義なき戦い〜/ハイエナ』より

この死肉や骨を食べてる姿もハイエナのイメージを悪くしてるのかもしれません。しかし、他の生き物が食べれないものを食べる、つまり分解するという事は、自然の生態系にとって、とても重要なのです。ハイエナが居なければ、もしかしたらサバンナは骨だらけになっていたかもしれません。(物凄く極論です。)

そんな素晴らしい能力を持ち、地球の生態系を守る為に一役買ってくれている、ハイエナのイメージが少しでも変わればいいなと僕は思っています。

南アフリカに暮らす、あるハイエナの群れ。その生態を克明に追う物語りを一部ご紹介!

『ハイエナ・クイーン』より