ナショナル ジオグラフィック

コラム

第3回
速く走るために

地上最速の哺乳動物チーターは、そのスピードとロケット並みの爆発的な加速力が武器。

『捕食者の死闘:ライオンvsチーター』より

陸上の生き物の中で最も速く走ることが出来るチーター。そのスピードは時速約110Kmにもなり、走り出してたった2秒で約72Kmまでスピードを上げることが出来るそうです。

チーターは速く走る為の素晴らしい体を持っています。多くのネコ科の生き物はツメを出し入れすることが出来ます。ツメを引っ込め、音を立てずに忍び寄り、そこから一気にツメを出し獲物を捕らえます

しかし、チーターは持前のスピードを生かした狩りをします。いかに速く走れるかがチーターの狩りのポイントです。その為、チーターのツメは出し入れ出来ず、出っぱなしになっているのです。この出っぱなしのツメがスパイクのような働きをし、地面を強く蹴ることが出来るのです。

ジェット機よりも速い加速力を可能にするのは完ぺきに設計された脊椎。1回の蹴りで8メートル近くも進むことができます。

『チーター:生存をかけた闘い』より

さらに、しなやかな背骨を一気に伸ばすことでスピードが増し、長い尾でバランスを取って方向転換し、硬い肉球が滑り止めの役割を果たし、ジグザグに走ることも可能にします。そして、頭は小さくて軽く、受ける風の抵抗を少なく走ることが出来ます。

しかし、この小さな頭がチーターの優れている点であり、ウィークポイントでもあるのです。頭が小さいことで良い点もたくさんあるのですが、同時にアゴも小さくなり噛む力も弱くなりました。

その為、抜群のスピードで獲物を捕らえてノド元に噛みついても窒息させるのに時間がかかり、その間によくライオンやハイエナに横取りされてしまうのだそうです。

狩りでの驚異的なスピードは体に大きな負担がかかるため、通常の心拍数に戻すには15分から30分ほどかかります。ほとんどのチーターは安全な場所に移動して30分間休憩してから食べ始めます。

『チーター:生存をかけた闘い』より

なんでしょう、この背中合わせな感じ。相手に自分の想いを伝えたくて、誰よりも早口でたくさん喋るのだが、早口過ぎて何を喋ってるのか聞き取れず、結果、相手に想いが伝わらないような切なさ。何かを手に入れ、何かを失う。そんな人生の機微をチーターはいつも教えてくれているような気がします。

人類最速の記録を持つ陸上選手ウサイン・ボルトも全く歯が立たないチーターにNFLのスター選手がレースを挑む!

『捕食者の弱点:人間 vs チーター』より