『究極の動物カウントダウン / #7 交尾』より
皆さんは「ビワアンコウ」という魚をご存知ですか?
チョウチンアンコウの仲間であるビワアンコウは水深400m~200mの深海で暮らしています。楽器の琵琶に似ているところから、この名前が付けられました。
メスは最大で120cm程になるそうですが、オスはわずか数cm。最大でも15cm程にしかなりません。
このビワアンコウがとにかく凄いんです。何が凄いかというと、この小さなオスはメスを見つけるとメスの体に噛みつき、なんと同化してしまうのです。
『究極の動物カウントダウン / #7 交尾』より
生きものたちにとって、エサの少ない深海で同じ仲間に出会うのはそう簡単な事ではありません。生きものたちは、子孫を残す事を大前提に生きています。ビワアンコウのオスも仮にメスに出会ったとしても、この先、いつまた出会えるかはわかりません。そこでオスは「このチャンスを逃してなるものか!!」と言わんばかりにメスに噛みつくのです。
すると不思議なことに、噛みついたオスは口元からメスの体に融合し同化していくのです。やがて、目や脳などさまざまな器官が退化し、栄養分は繋がったメスの血管からもらい、メスが卵を産むタイミングでサインが送られ、オスは放精するのです。
『究極の動物カウントダウン / #7 交尾』より
凄い生き方だと思いませんか?
オスはメスと一体化し、メスに一生を委ねるのです。メスに食べさせてもらい、自分の意志は無く、メスに依存しないと生きていけません。「究極のヒモ」なんて言われることもしばしば。しかし、これがオスの生殖戦略なのです。
近所の魚に、「あそこのオスはメスと同化して、全然働かないでいつも食べさせてもらってるのよ。」と陰口を叩かれることもあるでしょう。オスだって亭主関白を気取りたい日だってあるかもしれません。しかし、子孫を残すということに、これ程までに特化したビワアンコウのオスの生き方が僕は大好きです。