何故今振り返るのか
人種差別問題とアメリカ。建国から今日に至るまで、この2つは切って話す事が出来ないほどに根深い。肌の色の違い。単純に思えるがそれは国を分断させるほどのパワーを持っている。段々と積もっていく日常の不満は、ロドニー・キングのようなきっかけと共に巨大化した怒りへと統一化し爆発する。近年では記憶に新しいアルトン・スターリングさんの射殺事件など、白人対黒人といった図式の忌々しい歴史は繰り返されている。ただし、何人対何人という色同士の対立は表面的なだけで、本当はさらに奥深く湿ったところに問題があると、このドキュメンタリーは定義している。それが国の制度なのか、習慣なのか、見る人の思想と環境によって感じる事は違うだろう。だが、投げかけられた問題に対して、自分なりの答えを見つける所が小さい平和への一歩なのかもしれない。
拡散力
米首都ワシントンにある国立アフリカ系米国人歴史文化博物館でプレミア上映を行なうなど、文化的背景から見てもこの世に長く残る作品となることが伺える。またトレイボン・マーティンさん射殺事件をきっかけにデモやSNSで目にしない日はなかった「Black Lives Matter(直訳 黒人にも命はある)」というキーワード。この言葉の発信源であったショーン・キング(ニューヨーク・デイリー・ニューズ記者)もTwitterで「#LA92」と呟くなど、人種差別問題に敏感な著名人達も注目している。
ドキュメンタリーに精通した監督陣
「アンディフィーテッド 栄光の勝利」でアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門を受賞したT・J・マーティンとダニエル・リンジーが監督を務めている。この作品は再現ドラマはゼロ。全てアーカイブ映像を駆使して製作されている。