ナショナル ジオグラフィック

リンク:偉大な発明の意外な起源

原題: The Link
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番組内容

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画期的な発明の背景には、古代から現代までいくつものドラマが存在する。

コンピューターやデジタルカメラ、さらには携帯電話から衛星ナビゲーションまで、我々の生活はテクノロジーに取り囲まれており、その依存度はかつてないほど高まっている。
しかし、どれほどの人がその発明の経緯にまで関心を持っているだろうか?

今回のシリーズでは、近代における最も重要な発明に焦点を当て、これまでの既成概念を打ち破るその驚くべき起源を明らかにする。

【エピソード】
・剣からスパイ機へ (From Swords To Spy Planes) [二]
・花火から犯罪捜査へ (From Fireworks To Forensics) [二]
・水車からボーイング777へ
 (From Waterwheels To Mega Jets) [二]
・農具からスーパーカーへ (From Ploughs To Super Cars) [二]
・水道から石油掘削装置へ (From Aqueducts To Oilrigs) [二]

(全5話 各60分)

エピソード

「 剣からスパイ機へ (From Swords To Spy Planes) 」

剣からスパイ機へ (From Swords To Spy Planes)の写真

ジョシュ・クラインは、最強の無人偵察機プレデターとそこに隠された技術について調査を行う。彼の旅はまず古代中国にまでさかのぼり、銅剣がどのようにして古代中国の統一に寄与し、シルクロードが始まったのかを調べる。中国の技術はシルクロードを通じて西の世界に広がってゆく。次に、羅針盤の技術を追ってヨーロッパに入る。そこで目にしたのは、この技術によってヨーロッパ人は世界貿易の支配に乗りだし、レンズや顕微鏡の発明といった現代技術への確かな萌芽を生み出したのである。やがてビールの醸造によって微生物学が大きく発展し、冷蔵技術は現代のロケット工学につながった。そして、ついにはこうした技術の連鎖が無人偵察機プレデターに結実する様を明らかにする。

「 花火から犯罪捜査へ (From Fireworks To Forensics) 」

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ジョシュ・クラインは、犯罪捜査に使われる仮想現実の技術について調査を行う。彼の調査はまず古代中国の錬金術師による火薬の発見から始まる。その火薬は銃を生み出し、銃は戦場でそれまでにないような負傷者を生む。それが16世紀の外科手術技術へとつながり、人体のしくみや解剖学の発展に寄与したのである。やがて18世紀の哲学者によって人間の体をあたかも機械のようにとらえる概念が生み出され、自動からくり人形やチェーン駆動のしくみが作られた。彼の調査はチェーン駆動をたどって自転車に、さらにライト兄弟を経て初期の飛行機へとつながっていく。飛行機による空中戦はレーダー技術の開発を促し、初のテレビゲームも発明される。そして、ついにテレビゲームが端緒となって、犯罪捜査で現在試験的に導入されているバーチャル・リアリティ・スキャナーの技術開発へとたどり着くのである。

「 水車からボーイング777へ (From Waterwheels To Mega Jets) 」

水車からボーイング777へ (From Waterwheels To Mega Jets)の写真

ジョシュ・クラインが調査するのは世界最大級の複雑な航空機であるボーイング777型機のバックストーリー。彼の旅は中世ヨーロッパで始まる。その時代、修道院は水車によって初期の工場へと変化した。この変化は修道院を信じがたいほど裕福にし、ゴシック様式の大聖堂の建設ブームを引き起こす。大聖堂の鐘つきの自動化は時計の発明につながり、勤務時間の概念を導き出した。生産性が向上するとヴェネツィアを中心とした国際的な貿易が発展し、軽量で簡易な船が作られた。しかし船便の増加に伴い、難破する船も増加する。そこで輸送船を保護するために沖合に灯台が建設され、その際に防水セメントが考案された。その技術はエリー運河において活用され、デトロイトの工業化を導いた。デトロイトではフォードが移動型組立ラインを用いてT型フォードの量産を始めた。この技術こそ、世界で最も複雑と言われる航空機、ボーイング777型機の製造の際に用いられているものである。しかしジョシュの調査によると、この一連の流れはここで終わったわけではなかった。この生産ラインの技術は1920年代にハンバーガーチェーンのホワイトキャッスルに採用され、食品製造のスピード化が図られた。これがファーストフードの誕生だった。

「 農具からスーパーカーへ (From Ploughs To Super Cars) 」

農具からスーパーカーへ (From Ploughs To Super Cars)の写真

ジョシュ・クラインが調査するのはインディカーレーシングの最新テクノロジーのバックストーリー。まず中世の犂(すき)を手に取り、それが地形をどう変化させたかを見る。そしてプラハの美しい街を探索し、都会の生活には常に影の側面があることを発見する。伝染病だ。恐ろしい黒死病、つまりペストの調査中、彼は現存する書籍の中で絶大な価値のある“グーテンベルク42行聖書"に突き当たる。また彼は風力タービンに上り、16世紀の天才たちがどのように風車を完成させ、それが大西洋の横断を革新させた様子について探る。その革新により、移民の数が大幅に増加し、アメリカの国勢調査に困難をもたらした。それを解決したのがパンチカード式統計機械であり、ドイツの暗号解読や初の電子計算機の開発へとつながった。最後にジョシュはコンピューター技術が今日ではカーレースの世界でも重要な役割を担っており、私たちをテロから守るためにも使われていると明かす。

「 水道から石油掘削装置へ (From Aqueducts To Oilrigs) 」

水道から石油掘削装置へ (From Aqueducts To Oilrigs)の写真

ジョシュ・クラインが調査するのは、世界で最も深いペルディド油田で用いられている自動制御システムのバックストーリー。あれほど深い海底をどのように掘削して石油を生産しているのだろうか?彼の旅は古代ローマから始まる。ローマの火山灰は驚くべき構造特性をもち、非常に強度の高いセメントの材料であった。ローマのセメントは防水性が高かったので、技術者たちは新鮮な水を地方から都市部へと運ぶためにそのセメントで水道橋を建設した。輸送された水はローマの消防隊が火事を消す際に用いた。彼らが複動式手動ポンプを消火に利用したのに対し、ビザンツ人はこのポンプをコンスタンティノープルの街を守るために火炎放射器として使用した。侵入者に対してギリシャ火薬を吹きかけたのだ。ギリシャ火薬はコンスタンティノープルの安全を守り、知識の中心地として栄えさせた。この知識が西ヨーロッパへと渡り、ルネサンスの始まりとなったのである。ルネサンスの時代には技術者、彫刻家、建築家が派手な噴水を製作し、それらによって真空の存在が明らかになった。この“真空技術"によってフライボール式整圧器が開発され、パワーの調整と制御ができるようになった。その結果として蒸気エンジンが発明されたのだった。制御理論の知識はB-29爆撃機の火器管制装置の構築にも用いられ、第二次世界大戦における科学的進歩は後にペルディド油田での自動制御システムへと採用されることになった。

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