第1回目は、視聴者の知らないミシシッピ川の野生を探索する旅だ。季節は、秋の初め頃。源流から下る川沿いには、腹を空かせたオオカミ、凍えるボブキャット、いがみ合うハクトウワシ、不運なヤマアラシ、見えない獲物を狙う不気味なお化けのようなフクロウが生息している。
ミシシッピ川に春が訪れると、雪と氷が大量に溶け出す。水位が上昇すると、土壌が肥沃になり、堆に栄養分が与えられ、繁殖がしやすくなるため、魚にとっては天の恵みだ。しかし、これを喜ばない生物もいる。大洪水によって巣を流され、森の捕食者の恰好の餌食となるビーバーや鳥だ。コヨーテやハクトウワシは簡単にエサにありつくことができるが、生まれたばかりの動物にとっては脅威だ。洪水が下流に向かうにつれ、ミシシッピ川の本来の姿が露呈する。ミシシッピ川は、破壊者であると同時に、奇跡を起こす川なのである。
ミシシッピ川を南に下るにつれ、我々番組製作者のミシシッピ川に対する愛情はさらに深まってくる。途中、ミシシッピ川よりも激しく氾濫しているオハイオ川が合流し、それは時に人や動物に被害をもたらし脅威となる。源流では、どんな困難にも立ち向かう決意をしたが、今まさに困難が襲い掛かってきた。