ナショナル ジオグラフィック

メーデー!9:航空機事故の真実と真相

原題: Air Crash Investigation 9
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番組内容

“航空機事故が起こるごとに、航空機の安全性が増す”。この重い事実を明らかにしながら、「メーデー!」シリーズ第9弾では、歴史に残る飛行機事故がなぜ起きたのか、その原因を探る。コックピットの音声を録音したボイスレコーダーや事故報告書、目撃者の証言を基に、どのエピソードもインタビューと最新のコンピュータ画像、手に汗握る再現映像で事故を検証する。シリーズ第9弾では、ニューファンドランド島で予定通り給油を行った直後に起きた米軍チャーター機の墜落事故、危険で名高いサンパウロのコンゴーニャス空港の滑走路をオーバーランしたエアバスの惨劇、1958年にマンチェスター・ユナイテッドのサッカー選手とチーム関係者7名の命を奪ったミュンヘンでの衝突事故などを紹介する。

■60分×14話

エピソード

「 ハドソン川の奇跡 (原題: Hudson River Runway) 」

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2009年1月15日、ニューヨークのラガーディア空港を離陸して2分もたたないうちに、USエアウェイズ1549便が鳥の群れに衝突した。両翼のエンジンは突然、推力を失いエアバスA320型機は空から落下し始める。乗員は懸命にエンジンを再始動させようとするが失敗。一方にはニューヨーク市街、もう一方にはニュージャージー。チェスレイ・サレンバーガー機長は着陸する場所を必死で探した末、サレンバーガー機長は乗客と乗員に、衝撃に備えるよう警告する。そして管制塔に、航空機をハドソン川に不時着水させると連絡を入れた。驚くことに、乗客・乗員155名は全員無事だった。調査員たちは、鳥がどのように世界で最も高性能な2つのジェットエンジンを故障させたのか、原因を探る。再び同じような事故が起きるのを防げるのだろうか?

「 タン航空3054便 (原題: Disaster Runway) 」

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2007年7月17日、タン航空3054便のエアバスA320型機は、サンパウロの悪名高いコンゴーニャス空港に着陸するための最終進入中だった。コンゴーニャス空港の滑走路35-Lは、世界でも非常に危険な滑走路の1つだ。高台に造られていて、周りは高層ビルに囲まれている。3054便の乗員は、滑走路が濡れていて滑りやすいという報告を受けた。エンリケ・ステファニーニ機長は、全長1,945メートルの滑走路の終点部分にエアバスA320型機を降下させる。しかし、逆推力装置とブレーキを併用しているにもかかわらず速度が落ちない。航空機は猛スピードで滑走路を通り越し、主要道路を横切って、近隣のビルと給油所に激突した。乗客・乗員は全員死亡。地上にいた12名も命を落とした。これは南米史上、最悪の航空機事故である。これ以上の犠牲を出す前に、調査員たちは大きな重責を担いながら、ブラジルで非常に過密な滑走路で何が起きたのか、真相の究明にあたる。

「 ウエスト・カリビアン航空708便 (原題: The Plane That Flew Too High) 」

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2005年8月16日、ウエスト・カリビアン航空708便のマクドネル・ダグラス社製DC-9-82(MD-82)型旅客機は、予定より数時間遅れてパナマ・シティを出発し、マルティニク島に向かっていた。航空機は気象状態の悪い空域にさしかかり、パイロットたちは迂回を余儀なくされる。乱気流に加え、ほかにも問題を抱えていた。エンジンから十分な推力を得られていなかったのだ。この問題を解決するためパイロットは高度を下げるが、下がりきる前に失速警報がコックピットに鳴り響く。飛行を続けるには速度が遅すぎるためだ。パイロットたちが問題の原因を突き止める前に航空機は落下し、人里離れたベネズエラの農場に墜落した。調査チームは、ベネズエラ史上最悪の航空機事故の原因解明に乗り出す。世界でも有数の安全な航空機に何が起きたのか?

「 アロー航空1285便 (原題: Split Decision) 」

アロー航空1285便 (原題: Split Decision)の写真

1985年12月12日、アロー航空1285便のDC-8型機には、中東で6ヶ月にわたり平和維持活動の任務にあたった精鋭のアメリカ人兵士248名が乗っていた。休暇で帰省するためだ。ケンタッキー州フォート・キャンベル行きの1285便は、軍隊の輸送用として契約されたチャーター機だった。カイロから帰国する途中、DC-8型機は予定通りニューファンドランド島のガンダー空港に立ち寄り、給油を行った。しかし、目的地までの最後のフライトに向けて離陸したほんの数秒後、航空機の対気速度が落ちて高度が下がり、滑走路からわずかに南の、木がうっそうと茂った場所に墜落してしまう。過去に例がないほど悲惨な航空機事故となった。調査で明らかになった事実は激しい議論を呼び、現在まで続いている。

「 コンチネンタル・エクスプレス2574便 (原題: Breakup Over Texas) 」

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その日の朝、コンチネンタル・エクスプレス2574便のエンブラエル120ブラジリア機は予定通り2度目のフライト中だった。テキサス州ラレドからヒューストンまで、1時間の運航は終わりに近づいていた。最新鋭の航空機エンブラエル120ブラジリアは近距離用の旅客機で、あと数回の短いフライトが予定されていた。しかしパイロットたちが降下の準備に入った時、航空機は落下。わずか数秒で数千フィート降下し、農場に激突して大破したのだ。この事故で、搭乗していた14名全員が死亡。墜落時の衝撃は大きく、残骸が航空機のものだと判別できないほどだった。調査員たちは機内に爆発物があったと推測したが、その可能性は消え、さらなる調査によって善意が恐ろしい結果を引き起こした真相が明らかになる。

「 ミュンヘンの悲劇 (原題: Munich Air Disaster) 」

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世界で最も有名なサッカーチームのマンチェスター・ユナイテッドは、旧ユーゴスラビアで行われたチャンピオンズ・カップの試合を終え、イギリスへの帰国の途についていた。ミュンヘンでの給油後、パイロットたちは、最後のフライトに向けて準備を整える。雪がちらつく中、航空機は滑走路で加速するが、離陸速度に近づいた時、突然失速し、地上を離れることなく近隣の住宅と燃料庫に激突した。マンチェスター・ユナイテッドの選手7名を含む23名が死亡。世間の注目を浴びた航空機事故は、世界有数の名門クラブを打ちのめした。世界中のメディアが原因究明を叫ぶ中、ドイツの調査機関が事故の全容を明らかにし始める。生き残ったパイロットが衝突の責任を問われるが、彼は疑いを晴らすため10年以上奮闘し、国と国が対立する。

「 ノースウエスト航空85便 (原題: Turning Point) 」

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ノースウエスト航空85便のボーイング747-400型機は、デトロイトから日本の成田空港に向かう途中だった。400名以上を乗せたボーイング747型機は、ベーリング海の35,000フィート上空を飛行していた時、急に機体が左に大きく傾き、降下し始める。パイロットたちは、なんとか機体を水平に戻すことができたが、揺れ続ける機体をコントロールするのは非常に難しい。緊急事態を宣言し、1300キロ離れたアンカレジを目指して引き返す。およそ2時間後、恐ろしい試練は終わり、航空機は無事に着陸した。ベテランパイロットたちが致命的な墜落からかろうじて747型機を救ったのだ。調査員たちは、そもそもなぜ航空機はコントロールを失ったのか、原因の究明に乗り出す。

「 大韓航空8509便 (原題: Bad Attitude) 」

大韓航空8509便 (原題: Bad Attitude)の写真

大韓航空8509便のボーイング747貨物機は、ソウルを出発しウズベキスタンとイギリスを経由してミラノに向かう予定だった。しかし8509便はイギリスのスタンテッド空港の滑走路で時間を浪費。新たな乗員を乗せ、予定よりおよそ1時間近く遅れて離陸する。そして2,500フィート上昇したわずか数秒後に機体が左に大きく傾き、ロンドン北東部の平原に墜落。大規模な爆発で乗員4名は即死、激突の衝撃で約9メートルの巨大なクレーターが出来た。大韓航空にとって、2年半で5度目の大事故となった。事故の全容を探る調査員たちは、原因を解明するため韓国に向かう。

「 パシフィック・サウスウエスト航空182便 (原題: Hiding In Plane Sight) 」

パシフィック・サウスウエスト航空182便 (原題: Hiding In Plane Sight)の写真

パシフィック・サウスウエスト航空182便のボーイング727型機は、早朝にカリフォルニアの沿岸に向かって飛行し、通称“リンドバーグ空港”と呼ばれるサンディエゴ空港に到着する予定だった。航空機のすぐ前方にセスナが飛んでいるという警告を受けた727型機のパイロットたちは、セスナを確認。目視で間隔を保つよう指示される。しかしわずか数分後、182便はセスナと衝突し、2機とも閑静な住宅地に激突する。地上にいた7名を含む144名が死亡、アメリカ史上最大の航空機事故となった。調査員たちは、なぜ事故が起きたのか、誰の過失かを調べることにする。

「 ナイジェリア航空2120便 (原題: Desert Inferno) 」

ナイジェリア航空2120便 (原題: Desert Inferno)の写真

1991年7月11日、アフリカ系イスラム教徒の巡礼者一行は、ナイジェリアのソコトへ帰ろうとしていた。ナイジェリア航空2120便は、焼けつくような砂漠の暑さの中、サウジアラビアのジェッダにある広大な空港から離陸したが飛び立った直後、パイロットたちは航空機が適切に与圧できていないという警告を受けた。航空機の油圧装置が作動しないため、パイロットたちはジェッダにUターンしようと奮闘する。そうこうしているうちに、客室には煙が充満し火災が発生。空港からわずか3.2キロの地点で、2120便は炎に包まれ、地上に急降下して、搭乗していた261名全員が死亡した。DC-8型機史上最悪の墜落事故であるとともに、カナダの航空会社史上最悪の事故となった。調査員たちは原因解明に乗り出す。

「 パシフィック・サウスウエスト航空1771便 (原題: I'm The Problem) 」

パシフィック・サウスウエスト航空1771便 (原題: I'm The Problem)の写真

ロサンゼルスからサンフランシスコに向かっていたパシフィック・サウスウェスト航空1771便はカリフォルニア州郊外の上空を飛行中だった。弱い乱気流に巻き込まれた以外、この定期国内便は順調に目的地を目指していた。しかし、それはパイロットたちがキャビン内で銃声を聞くまでのことだった。発砲の事実は管制塔に報告されたが、その直後に機体は急降下をはじめ、人里離れた農地に墜落した。この事故で43人が死亡したが、機内で犯罪が行われた可能性もあるため、国家輸送安全委員会(NTSB)と連邦捜査局(FBI)の調査員が協力して捜査に当たり、何が起きたのか、誰が犯行の動機と機会を持っていたのか、そして、誰が標的だったのかを解明しなければならない。

「 タカ航空110便 (原題: Nowhere To Land) 」

タカ航空110便 (原題: Nowhere To Land)の写真

1988年5月24日、タカ航空110便ボーイング737-300型機。タカ航空110便は激しい雷雨の中を飛行中だった。ニューオーリンズ空港への着陸に向けて高度を下げ始めたところ、エンジンが2基とも停止してしまい、機体は落下を始めた。パイロットたちは両エンジンの再始動を試みるが、すでにオーバーヒートしているため停止させざるを得ない。再び動力源を失った機体は急速に落ち続ける。水路への不時着を検討するも、結局、細長い草地の堤防に着陸することを決断。38人の乗客が衝突に対する準備体勢を取る中、パイロットたちは民間航空機の歴史に残る驚異的な着陸を成功させた。調査員たちに課せられた仕事は真新しいボーイング737型機のエンジンが飛行中に故障した原因を突き止めることだった。

「 スカンジナビア航空686便 (原題: The Invisible Plane) 」

スカンジナビア航空686便 (原題: The Invisible Plane)の写真

2001年10月8日、スカンジナビア航空686便ボーイングMD-87型機。ミラノのリナーテ空港に濃霧が立ちこめる中、スカンジナビア航空686便はコペンハーゲンへの定期飛行の準備に入っていた。視界がほぼゼロだったため、離陸態勢に入るには地上の管制官の指示に従わなければならない。機体が滑走路を加速して進み、地面から離れた瞬間、進路に入ってきたセスナ機と衝突した。セスナ機は炎上し、MD-87型機の方は地面にたたきつけられて手荷物保管庫に激突。その衝撃で機体は爆発して大破した。イタリアで史上最悪の航空機事故となったが、調査の結果、衝撃的なミスが幾つも明らかになる。この大惨事を受けて、空港の構造の見直しが行われ、事故の責任者は裁判所より有罪判決を受けた。

「 ユナイテッド航空232便 (原題: Sioux City Fireball) 」

ユナイテッド航空232便 (原題: Sioux City Fireball)の写真

1989年7月19日、ユナイテッド航空232便DC-10型機。アイオワ州上空の高度3万7000フィート(1万1300メートル)を飛行中のユナイテッド航空232便のエンジン3基のうちの1基が爆発した。パイロットはそのエンジンを停止させるが、まもなくもっと深刻な事態が明らかになる。機体は右に大きく傾いており、正しい姿勢に戻すことができない。DC-10の油圧系統がすべて故障していたのだ。残る2基のエンジンに切り替えて機体を操縦するしかなかった。損傷を受けた飛行機を何とか最寄りの空港まで近づけたものの、翼の損傷のため通常の着陸態勢に入ることはできないため、エンジンを最大の出力にしたまま着陸せざるを得なかった。緊急着陸の衝撃で乗客296人のうち111人が犠牲となった。調査員たちは多重安全機能が備わっているはずのシステムが機能しなくなった原因を解明しなければならない。

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