時間を無駄にする、時間を節約する、時間をつぶす、時間を作る…。この世は、時間の上を流れている。しかし、物理学者に「時間とはどういうものか?」とたずねると、「わからない」という衝撃な答えが返ってくる。さらに驚くことに、私たちが体験している現在から過去へ過ぎていくという時間に対する強い感覚は、幻想にすぎないかもしれないのだ。こんなにも当たり前に理解していることが、なぜ間違っていたりするのだろうか? その答えを探し求めて、ブライアン・グリーンが究極のタイムトラベルアドベンチャーへ案内する。過去へ戻るためにワームホール(ブラックホールとホワイトホールをつなぐ時空間)に入ったり、50年後の未来へ高速移動する。その途中で、ブライアンはティラノサウルスの時代から私たちのひ孫の孫(玄孫)まで、過去、現在、未来という瞬間的時間がすべて同時に存在するという新しい概念を明らかにしていく。この旅では、時間の究極の秘密が隠されていると物理学者が考える宇宙創生のビッグバンにまで遡っていく。きっと、腕時計を見る目も変わるにちがいない。
空間とは、私たち人間や原子を互いに隔て、1つの銀河を隣の銀河と区切るものであり、宇宙には無限に存在している。私たちのほとんどが、空間とは無であり、空っぽの空虚だと思っているが、実はそうではないことがわかっている。光速に近いスピードでニューヨークを走るタクシーの後部座席からビリヤード台で幻想的な技が繰り広げられるビリヤード場まで、ブライアン・グリーンが、重力の影響で、伸び、ねじれ、ゆがみ、揺れるダイナミックな布地のような空間を紐解いていく。実際に宇宙の70%を構成している未知なる成分が新たに発見されており、物理学者は、その成分が宇宙に存在し、かつてない急速なスピードで宇宙を膨張させていることから、それを暗黒エネルギーと呼んでいる。それが何であるかはわかっていない。最小スケールによる宇宙空間の探査は、その謎をますます深め、今日の物理学者たちは、辛うじて宇宙全体を生み出すことができるほど強力な力として推測するばかりだ。さらに、彼らは宇宙に存在する未知なる場所と言われるブラックホールを踏まえて、クレジットカードのホログラムのように、空間は奥行きのある2次元の現実の投影にすぎず、私たちをとりまく遠く離れた場所で起こっているという案を出している。空間は、空っぽどころか、奥深い時間の謎に満ちているのだ。
ブライアン・グリーンとともに、最小スケールで宇宙を考える量子物理学の不可思議な世界を体験しよう。ブライアンは、物質が現れては消える唯一無二の場所といえるナイトクラブでの出来事を量子力学で紹介する。ここで起こることが、他のどこかに影響を与えることができ、その間にある空間を横切るものは瞬間的に存在しない。1世紀前、量子力学的革命における初の試みでは、アルベルト・アインシュタインやニールス・ボーアといった当時の学者たちが、物理学の真髄について論争を繰り広げていた。原子単体やその成分の性質についてわかりやすくまとめた量子力学界の法則が、人類、惑星、銀河を制御する日常的な法則にそれほど著しく矛盾しうるはずがない。量子力学は直観と相容れない考えかもしれないが、科学の歴史において、最も成功を収めた理論の一つだ。この理論により、無数の中からよりよい予測を可能にし、現代の生活の核となるコンピューターや携帯電話などの技術が生まれた。しかし、それほど深い理解を得られた理論であっても、今も量子力学が意味する現実世界の本質については論争が絶えない。
納得しがたいことだが、最先端の理論では、私たちの宇宙はただ一つの宇宙ではない可能性を示唆している。宇宙は、多元的宇宙を作り出す無限の数ある世界の一つにすぎないというのだ。この番組では、ブライアン・グリーンが案内する物理学の最前線を行くこの勇気ある新理論の旅で、なぜ科学者たちがその理論が正しいと考えているか、現実世界に代わる世界がどのようなものかを紹介する。宇宙の中には、ほとんど地球と区別のつかない世界や私たち全員が別の形で存在する世界があるかもしれない。存在しているのは私たちだが、家族も仕事も人生も異なる世界だ。認識できないほどに、現実世界が私たちの世界とは根本的に違っている別世界…。ブライアン・グリーンが、なぜ宇宙に存在する徹底的に異なる世界が科学者から本格的に注目を集めているのかを明らかにする。新理論を証明することは難しいが、もし正しいならば、空間、時間、宇宙の居場所に対する私たちの概念が全く異なるものになるだろう。