メガロドン。それは史上最大の海の捕食動物だ。20センチの歯が生えそろった2メートルを超えるあごを持ち、体重が50トンにもなる、この獰猛なサメは、2000万年のあいだオーストラリアから南北アメリカ大陸にかけて、太平洋の生物の命を脅かし続けてきた。当時の巨大なクジラでさえ、この捕食動物の王者の敵ではなかった。このメガロドンが地球から消えてほぼ200万年たった今、科学者たちがその想像を超える姿を復元する。
南アメリカの「恐怖の鳥」は、かつて地表を支配したなかで最も変わった捕食動物かもしれない。約500万年前まで、南アメリカ大陸は海に囲まれ、周囲から完全に切り離された世界だった。現在の中央アメリカは海峡であったため、南アメリカの生物は独自の進化を遂げることになったのである。また、恐竜が6500万年前に絶滅した結果、生態系に空白が生じていた。捕食動物の王者が占めていた王座が空席になっていたのだ。周囲の世界では、一般にサーベルタイガーと呼ばれる剣歯虎や、オオカミ、熊などの哺乳動物がその空席を埋めた。
3000万年前。すさまじい生存競争が繰り広げられた北アメリカ大陸を何百万年も支配したのは、極めて醜く、強力なエンテロドン「地獄の豚」だ。しかし2000万年後、スピードと鋭い歯、集団による連携プレーを得意とするベアードッグがディノヒウスを襲う。生存競争の勝敗要因が腕力から頭脳に変わったのだ。勝者必衰。しかし、急速に消滅したこの「地獄の豚」一族は、地球の歴史上、種の進化という意味では大成功を収めた生物であった。
ヒアエノドンは、その強靭な頭部を使って恐怖時代のステイタスを築いたといってもいいだろう。それは、数秒で獲物を捕らえる究極の凶器だ。この獣は、自身の可能性以上の能力を発揮した動物といえるだろう。非常に鋭い牙は、恐竜の歴史にもまた、大きな傷跡を残すことになった。