北アメリカでは滅多に人目に触れることがないピューマ。ケーシーにとってもその姿を拝むことは長年の夢である。「ロッキー山脈の幻」と呼ばれるピューマを探すため、ケーシーの友人でネコ科動物の研究者タイラー・ジョナーソンも一役買う。2人は、特殊なカメラを携えてイエローストーンの大自然の中に分け入る。そこで優秀な猟犬の助けも借りながら、今まで誰も撮影したことがないピューマの生態を映像に残すべく奮闘する。ピューマは非常に賢い捕食者であり、同じネコ科のアカオオヤマネコよりも大きな獲物を狙って、6メートル近く飛び上がるほどの跳躍力も持っている。
アラスカとブリティッシュコロンビアに広がる氷の大地。ケーシーは厳しい自然環境に耐えながら、自らに課した難題に挑戦する。その難題とは、滅多に人目に触れず多くの伝説を持つ動物、クズリの姿を映像に納めようというものだ。クズリは、悪魔のように凶暴で、大食漢だとも言われている。またハイエナと比べられることもあり、北アメリカの地では、おそらく最もその生態が謎に包まれている動物だろう。
クズリが動物の死骸を探し求め、オオカミやヘラジカ、ヒツジなどに遭遇する場面を映像に納めるべく、ケーシーは、ほとんど人間が訪れない広大な自然を旅していく。そこは、今まで誰も訪れたことがないような最果ての地である。クズリは凶暴だが、実は、高い知能を持ち、大変な遊び好きな性質の持ち主だ。ケーシーは、これまで語られてきたクズリ像が、実像とは大きく異なっていることに気づく。
自然活動家のケーシー・アンダーソンは、グランドキャニオンへ冒険に出かける。壮大な自然を巡りながら、カリフォルニアコンドルやガラガラヘビなど、険しい峡谷で生きる希少な種が登場する。峡谷は、深さ1.6キロ、幅が約28キロ。アリゾナのノースリムでは、谷壁越しに朝日が昇る。あとわずかで向こう岸にたどり着くという時には、ケーシーの背中のリュックは少し重くなったように感じられる。ノースリムを出発しミード湖まで川を下っていくと、ついに南西部の砂漠地帯へと入っていく。この地の過酷さは、観光客に注意を促す看板の内容からもうかがい知れる。準備不足でのトレッキングは、脱水症状や熱中症、疲労によって死に至ることもあるというのだ。もとより、砂漠を日々生き抜いていくことは、楽なことではない。アメリカ南西部に特有な気温の変化は、想像以上に厳しいのだ。この地に生息する動物の特徴を観察すると、非常に多くのことが分かってくる。そこで暮らす動物たちは過酷な自然を生き抜くために、体の仕組みや行動を周囲の環境に適応させているのだ。
自然活動家のケーシー・アンダーソンは、イエローストーンで最も強力な腐食性の動物とはどの種なのか見極めようと思い立つ。そして、数週間にわたりシカの死骸に集まる動物たちの様子を記録した。いざ映像を確認してみると、動物たちの意外な行動が判明する。映像に登場するのは、オオカミ、ピューマ、スカンク、ワタリガラス、そして死骸のいたるところからはい出てくるウジなどだ。もちろん、動物たちはエサにありつくためにやって来るのである。ほかの動物に捕食されては元も子もない。また、この地に生息するおなじみの捕食動物たちもやって来ていた。グリズリー、ワシ、コヨーテやハイイロオオカミなどイヌ科の動物などだ。肉食動物というと常に虎視眈々と獲物を狙っているイメージがあるが、実は、彼らはかなりの日和見主義者だということが分かる。そして、ヒメコンドル、ワタリガラス、スカンク、様々な虫などから、腐食動物の典型的な特徴を知ることもできる。今回の調査を通して、ケーシーは、知られざる腐食動物たちの世界の扉を開いていく。
自然活動家のケーシー・アンダーソンのもとに、生後6週間のツキノワグマがやって来た。子クマはケーシーの指導のもと、歩き方や泳ぎ方、木登りの仕方、エサを探す術などを学んでいくこととなる。しかし、ケーシーはメーン州の森に分け入り、ツキノワグマを探すことに精を出し始めると、クマの教育はなかなかスムーズに進まない。メーンの森は、アメリカの中でも最も多くのツキノワグマが生息している地域の1つである。岩山や沼は手つかずのままで残っており、ヘラジカの生息地でもある。映像でツキノワグマを撮影する時には、この豊かな生態系はもってこいの背景となるだろう。メーンの森には、イエローストーンに匹敵するほど野生が残されている。東海岸にこれほどの自然が残された場所があるとは誰も想像しないだろう。そうこうするうちに、里子のクマは成長し、新たな訓練を始める時期になる。クマはミツバチの巣を取ったり、ベリー類を探したりと次々に課題に取り組む。子クマはすくすくと育ち、まもなく青年期を迎える。今後もその成長から目が離せない。
真夜中でも太陽が沈まない極地の夏。まさかの顔合わせが実現した。
本来は遠く離れた地に生息し、生態もまったく違うホッキョクグマとハイイログマが遭遇することになったのだ。自然活動家のケーシー・アンダーソンは400キロもあるハイイログマのブルータスを北極へ連れていき、ホッキョクグマと同じような生活ができるかどうかを試すことにしたのだ。この試みよって、近年自然界で生じた新たな謎が解けるかもしれないと希望を抱きながら。その謎とは、気候の変動により、今まで考えられなかったような争いが生じる可能性が出てきたことに起因する。ハイイログマとホッキョクグマの争いだ。この争いは数世代のちには、自然界でも実際に起こりうるだろう。ケーシーは、最終的にどちらの種が生き残ることになるのかを考察する。極地の厳しい環境に適応できるのは、はたしてどちらのクマか。今の時代だからこそ生じるこの難題。私たちは勝者を予想することができるだろうか。