ナショナル ジオグラフィック

世界の麻薬産業 2

原題: Drugs, Inc. 2
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番組内容

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全てを破壊する魔の威力・・・関わる者すべての人生を狂わせる麻薬ビジネスを追う

世界はなぜ、これほどまでに麻薬がまん延しているのか。この事実を正確に把握するため、麻薬の種類ごとにその供給ルートをたどるシリーズである。今、麻薬の影響下にある人たちを通じて、死を招く麻薬の経済的重要性、世界中に広がる麻薬汚染、それに伴う社会的影響の大きさ、裏に隠された説得力ある科学的知識、そして麻薬の原点にスポットを当てる。

エピソード

「 クラックコカイン (Crack) 」

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クラックコカインは麻薬ディーラーにとってまさに夢のドラッグである。安価で強烈な高揚感を得られるが、作用時間が短いため使用者はさらにクラックを求めるようになるからだ。その結果、他のどの麻薬よりも犯罪や暴力を助長させている。このエピソードでは、ペルーのジャングルで精製しているコカイン製造者やリマのスラム街にいるホームレスの子供たち、シカゴのクラックディーラーや中毒患者、そして南フロリダにある複数機関の麻薬捜査班などに初めて接触を試み、クラックビジネスの実態に迫る。

「 裏組織:グランド・セフト・オート (Underworld, Inc: Grand Theft Auto) 」

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26秒に1回、車の窃盗事件が起きているアメリカ。悪びれもせず、車を借りる感覚で盗む窃盗犯もいれば、海外輸出を目的に犯罪組織のために窃盗を行うプロの犯罪者もいる。また、窃盗犯はメキシコの麻薬カルテルのためにトラックやSUV車を盗み、彼らはそれを"麻薬タンク"と呼ばれる武装した車へと改造する。一方の警察もこれを阻止すべく、新たな戦術を立てる。今回のエピソードでは、窃盗、盗難車のパーツ販売、密輸業者や警察などを描いた人気ゲーム「グランド・セフト・オート」の世界を再現したかのような内容になっている。世界中で取引される金額は総計1.3兆ドル。これが闇社会の産業である。

「 ケタミン (Ketamine) 」

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ケタミンは、新世代の若者たちの間で麻薬の選択肢のひとつになっている。安価で入手しやすく、非常に強力な作用を得られるからだ。21世紀における用途の広いこの麻薬の特長は、クラブなどのパーティー会場でも自宅にいても強烈な幻覚作用を得られることにある。そのため人気の高い麻薬となっている。このエピソードでは、インドの密輸業者、アメリカの麻薬ディーラー、カナダの警察官たち、そしてケタミンを入手するために大金を支払っているというイギリスの中毒患者などを通し、この5年でその存在が顕著になってきたケタミンにスポットを当てる。

「 大麻 (Hash) 」

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マリファナは世界で最も使用率の高い麻薬の一種である。今回のエピソードでご紹介するのは、人口約80万人の町、モロッコのリフ山脈ふもとの大麻製造業者。この町は大麻栽培による収益で経済が成り立っているのが現状だ。ジブラルタル海峡では、密輸業者と税関職員とのいたちごっこが繰り返される。イギリスでは、ヨーロッパで最高級の大麻を入手するため、逮捕を覚悟の上で行動する麻薬ディーラーや輸入業者。大麻吸引が公認されているアムステルダムのコーヒーショップを訪れるアメリカ人。そして、頭部に銃弾を受けた兵士は、その痛みとPTSD(心的外傷後ストレス障害)を和らげるために大麻を使用する。

「 エクスタシー (Ecstasy) 」

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エクスタシーは数あるドラッグの中でも問題が多い薬物である。クラブに通う多くの若者にとってエクスタシーは究極のラブ・ドラッグ(催淫剤)で、この麻薬のためなら犯罪組織もあらゆる手立てを講じるだろう。レイブパーティーなどでエクスタシーを摂取し、これまで何千もの人が死亡しているが、一部の療法士にとっては患者の命を救う薬なのである。このエピソードでは、麻薬の運び屋や密売人から製造業者や乱用者まで、これまで踏み込んだことのないエクスタシーの裏側の世界に迫る。また、カナダの通関やアメリカの救命士など法執行機関や救命救急の現場も取り上げ、世界中に与えるエクスタシーの影響をお伝えする。

「 幻覚剤 (Hallucinogens) 」

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幻覚剤は人間に最も強力な作用をもたらすドラッグとして知られている。アメリカではこの40年間、LSDやマジックマッシュルームといったドラッグに手を出した人は、多幸感を覚え、そして哀れな末路をたどってきた。現在、アマゾンのジャングルからアメリカやヨーロッパの街へ流通している幻覚剤は、新世代の使用者にとって強力な向精神薬で、高揚感を得るためではなく、麻薬中毒や疾患の治療のために摂取しているのだ。こうした使用者たちは、辛い病気から解放され普通の生活を送るために、逮捕される可能性や更なる健康被害を受けるかもしれないという危険を冒している。

「 デザイナーズドラッグ (Designer Drugs) 」

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数ある麻薬の中で、デザイナーズドラッグは世界中で新たな火種となっている。わずか数ドルでコカインやエクスタシー、あるいはマリファナを模した多くの合成薬物を入手できるのだ。「バスソルト」や「スパイス」といった名称で販売されているこうした薬物は、れっきとした合法ドラッグなのである。しかし、合法だからと言って安全であるとは限らない。製造元は「人体取得を目的とした商品ではない」という注意書きラベルを貼ることで、連邦規制から逃れている。こうしたドラッグが法律で禁止されても、闇の薬剤師らが化学構造の一部を変更するだけのことだ。法律で規制されると、ギャングたちの懐は潤うのである。

「 鎮痛薬依存 (Pill Nation) 」

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ヒルビリーヘロインという俗称で知られている処方薬の鎮痛剤は、アメリカのありとあらゆる都市や町に浸透している。貧しいトレーラーハウスの住人から高級マンション住まいのセレブまで、鎮痛剤はアメリカ社会の根幹を揺るがせている。鎮痛剤の乱用者はコカイン、ヘロイン、クリスタルメスの中毒患者を合わせた人数よりも多く、事故死の主な原因である交通事故に次いで2番目に高い死亡率となっている。オハイオ州の丘陵地帯からメキシコの都市ティフアナの貧困地域に至るまで、鎮痛効果のある錠剤が今や21世紀におけるドラッグの選択肢のひとつになっているのだ。

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