冬は何カ月もの間、北極から吹きつける極寒の風と共に、スカンジナビア半島を氷に閉じ込めていた。しかしついに、ゆっくりではあるが、冬の厳しさが和らぎ始める。時間をかけて、暖かな気候が、大地を変えていき、まったく新しい世界が姿を見せる。だが、こうした穏やかな季節はあまりにも早く終わりを告げる。新たに誕生した無数の命の間では、生存競争が始まっているのだ。
スカンジナビア半島の北のはずれは、北極ツンドラ地帯と呼ばれ、樹木が見られない荒野が広がる。1年を通じ、気温が氷点より上になることはまれだ。この恐ろしく厳しい土地では、生物はほとんどいないと思われるが、驚くべきことに、厳しい自然と闘い、あらゆる困難をものともせずに生き抜く生物たちが存在している。
何千キロメートルにも渡る、スカンジナビア半島の海岸線。時間と潮流が半島を形作り、この地に住む生物の生態を作り上げた。文字通り“崖っぷち”のこの土地は、変化が絶え間ない環境だ。それは、動物たちの生活にも影響を与えていた。
スカンジナビア半島での生活は、苦難に満ちている。不安定で厳しい天候の土地では、すべての生物は、予期せぬ出来事に対応できるような準備をしておく必要がある。日照のない季節と白夜の季節の中で、生物が数々の困難を切り抜け、懸命に生きる生活を明らかにする。冬と夏の気温差が極端なため、環境は予測不可能で不安定だ。そして北極圏の寒さと、氷山が溶ける暑さもある。そんな中で生物たちは、生き残るための見事な進化を遂げてきた。繊細な美しさを持つ反面、地球が持つ力は、荒々しい力に満ちているのだ。