蒸気動力と蒸気鉄道の登場により、19世紀のイギリスは世界初の産業国家へと変貌を遂げた。第1話では、ダン・クルイックシャンクが最初の蒸気鉄道とランカシャーの綿工業の急成長との関わりを調査し、鉄道の先駆者であるジョージ・スチーブンソンとロバート・スチーブンソンが1830年にマンチェスターからリバプールまで、どのように最初の鉄道サービスを作り上げたかを紹介する。また、ペナイン山脈奥深くの200年の歴史をもつトンネルを通り、多数の建設作業員が命がけで現代の鉄道網の基礎となる線路、高架橋、橋、トンネルの素晴らしいネットワークを建設した歴史を紹介する。さらに、現代のイギリスの鉄道網を築いた鉄道建設ブームで、初期の鉄道界の有力者がいかに大もうけし、その富を失うことになったかも明らかになる。
ダン・クルイックシャンクが、オリジナリティにあふれる優れた技術者であったイザムバード・キングダム・ブルネルの功績をたどる。彼はグレート・ウエスタン鉄道と最初の大西洋横断蒸気船を設計した。グレート・ウエスタン鉄道の蒸気機関車は優美さと力強さを兼ね備えている。ブルネルは、高速で豪華な長距離鉄道を夢見て、自らの事業に合わせた駅を建設し、鉄道旅行を変えた人物である。グレート・ウエスタン鉄道はブルネルの蒸気機関革命のほんの一部に過ぎず、乗客ははるかアメリカまで旅行することができるようになった。ロンドンからブリストルまで列車で移動し、その後大西洋を世界最大の蒸気船で横断するのだ。ブリストル-ロンドン間のグレート・ウエスタン鉄道の建設は、旅行にスピードと快適さをもたらしたいというブルネルの考えから始まった。
第3話では戦場の鉄道に焦点を当てる。部隊を前線に送り、退却時には部隊を救出し、市民を避難させ、夜間には空爆を受け、作戦開始に備えて重要な役割を果たす鉄道。ダンが鉄道員の功績と勇敢な行動を紹介し、戦争という不穏な時期に鉄道を走らせ続けた技術について調査する。ダンの旅はドーバーへ向かう所から始まる。2回の世界大戦では、何千もの部隊がそこからフランスへ向かった。この時代には鉄道の惨事が起こったが、史上最悪の海難である客船ランカストリア号の撃沈もまた、鉄道に関連する惨事であった。1940年6月17日、ランカストリア号は3発の直撃弾を受け、その多くが鉄道員であった約4,000名の乗客を乗せたまま沈没した。