ナショナル ジオグラフィック

メーデー!2:航空機事故の真実と真相

原題: Air Crash Investigation 2
メーデー!2:航空機事故の真実と真相の写真

番組内容

実際に過去に起きた最近の飛行機事故を詳しく調査していき、その事故がどうやってそして何が原因で起きてしまったのかを明らかにしていくノンフィクションシリーズ。アクシデントの様子をつぶさに伝えるコクピットとキャビンの緊迫した状況を再現しながら、災難に遭った6つのフライトを視聴者に擬似経験してもらう。これらの衝撃的な再現ドラマは、回収されたコクピットのボイスレコーダーの録音に基づいて巧妙に制作られる。それらの事故を伝えるニュース映像、主だった目撃者へのインタビュー、飛行中の飛行機のコンピューターグラフィックス映像などは、航空業界での議論の中心である安全問題に光を投げかける。また、生存者、犠牲者の家族、事故の調査官らに取材し、それらをつなぎ合わせて、大事故の原因を探っていく。

■60分×6話

エピソード

「 突風 (Blow Out) 」

離陸したばかりの数分後、ブリティッシュ・エアウェイズ111便のコックピットから大きな破裂音が聞こえてきた。風防ガラスが音をたてて壊れ、機長はガラスの割れた部分から吸い出されしまった。機長の体は機体側面にはり付き、飛行機は即座に急降下を始めた。副操縦士は突然独りで操縦することになり、穴の開いたコクピットですさまじい風の音と戦うという、絶望的状況にあった。しかし、これらの困難にもかかわらず、副操縦士は飛行機の着陸に成功した。そして機長も奇跡的に助かった。

「 傷ついた鳥 (Wounded Bird) 」

1995年8月21日。アトランティック・サウスイースト航空529便はジョージア州のアタランタを飛び立ち、ミシシッピ州のガルフポートへと向かっていた。しかし離陸後、一度大きな音が聞こえ、そのまま衝撃音が続く。26名の乗客が目にしたものは、機能しなくなった4つの内の1つのプロペラと、エンジンの外板がなくなり、むき出し状態になったエンジンが左翼にそのまま張り付いている状況。機体はもはや片方の翼で飛行していて、操縦士は機体をなんとか空中に保とうとしたものの、不時着を強いられた。奇跡的にすべての乗客乗務員は助かったが、直後の火災で負った火傷により、何人かが命を落とした。事故後、連邦航空局の調べで、プロペラの金属疲労が事故原因であったことが発覚した。同じ製造会社関連を含む3つ目の事故だ。しっかりと整備を行っていれば防げた事故であった。

「 ハイジャック (Hijacked) 」

1994年クリスマスイヴ、239人を乗せたエールフランスの旅客機は離陸前に4人の武装イスラム集団にハイジャックされる。犯人グループはアルジェリアの内務相に、イスラム救国戦線の指導者の釈放を要求。最初、63人の乗客が解放されたが、アルジェリア政府が犯人側の要求を飲まなかったことが犯人グループを激高させ、乗客一人を殺し、遺体を投げ捨てた。しかしアルジェリア政府はこれには動じず、結局3人の乗客が犠牲に。このことでフランス政府が圧力をかけ、8969便をマルセイユへ向けて離陸させた。39時間が経っていた。マルセイユ到着後、フランス政府は8969便をマルセイユ空港から一歩も出さないよう時間を稼ぎ、犯人グループが機体をパリに向けて街の上空で機体を爆破させようとしている計画を知る。犯人グループの8969便制圧から54時間が経ち、苛立った犯人グループは回りの飛行機や航空管制塔に向けて発砲。しかしこれが合図となりG.I.G.N.(フランス国家憲兵隊治安介入部隊)が一気に機内へ突入。犯人グループを射殺し、173名の乗客乗務員を救い出した。G.I.G.N.の特殊部隊歴に残る最もダイナミックなテロリスト犯鎮圧の成功例となった。

「 上昇か?下降か? (Crash On The Mountain) 」

コロンビアのカリへ向けてマイアミ国際航空から飛び立ったアメリカン航空965便は、休暇の混雑に伴い定刻より遅れて離陸した多くの便の内のひとつだった。遅れを取り戻すため、機長は機体をフルスピードで操縦、2人の経験豊富なパイロットに、最新のシステムを積んだ965便は万全の状態にあるように思われた。しかし着陸を試みようとした時、システムに不備が生じる。着陸を急いだ結果、機位を失った機体は誤った峡谷に入り込んでしまう。操縦士は機体を上昇させようとしたが、機体はそのまま山に墜落。調査員たちは、たった4人の生存者と残されたわずかな記録から、965便の最後の30分に何が起きたのかを組み立てていく。その結果、2人のベテランパイロットがあとわずかな注意を払っていれば回避できた可能性のある事故であったことがわかった。

「 空中衝突 (Mid-Air Collision) 」

スペインで休暇を過ごすため、たくさんのロシア人学生を乗せたバシキール航空ツポレフ154型機。DHLの国際宅配便はイタリアからベルギーへ向かっている。2機の路線はドイツとスイスの国境で交差する予定だった。管制塔では航空管制官が1メートルも間のある2枚のスクリーンをたった一人で管理している。2機がお互いに近づき、それぞれのパイロットは管制官に指示を求める。しかし運悪く、管制官はほかのスクリーンを管理していて、彼らに気づいた時は既に遅かった。2機は空中衝突し、71人が死亡、ほとんどが未成年の子供だ。空中衝突防止装置によって防げた事故だったが、何が起こったのだろうか?

「 ニューヨーク上空 (Deadly Delay) 」

ニューヨーク市上空を覆う濃い霧が航空機の離着陸を大幅に遅らせている。ジョン・F・ケネディ国際空港では航空交通管制が嵐の対策を考えていた。乗客乗務員158名を乗せたアビアンカ航空52便はすでにニューヨーク上空を77分もぐるぐるしており、燃料も残り最後になっていた。乗務員からの緊急連絡はあるものの、管制室は着陸の許可をなかなか出せないでいる。そしてようやく許可が下りたころには燃料がなくなり、機体はそのままロングアイランドに墜落。73名が死亡した。その後の調査では墜落事故は防げたものなのかの、多くの議論が寄せられている。

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