そびえ立つ赤い岩壁と澄んだ青空が見事なコントラストを描くザイオン国立公園。バージン川が岩を削り続け、壮大な景観を形作った。古代ヘブライ語で「聖域」を意味するこの公園には険しい地形に守られるようにビッグホーンやコウモリ、シチメンチョウなど多様な生き物が暮らす。さらに、この地域は美しい星空でも知られる。はるか昔から星や動物たちと深いつながりを持って暮らしてきた先住民にとっても、ここは大切な場所だ。
世界初の国立公園に指定されてから150年以上が経つイエローストーン国立公園。その1年を追う。イエローストーンはオオカミやバイソン、ハイイログマなど、多種多様な野生動物の生息地であるとともに、アメリカ先住民が古くからゆかりを持つ聖地でもある。そして忘れてはならないのが、間欠泉や温泉といった多彩な地熱現象。これを見れば、イエローストーンが世界初の国立公園として保護されてきた理由が分かるだろう。
今回紹介するのは、アラスカ州のカトマイ国立公園。氷河と火山に抱かれたこの地では1912年に20世紀最大と言われる大噴火が発生。カトマイ山が変形し、膨大な火山灰に覆われた谷が残された。そこから時を経た今、カトマイでは自然がよみがえり、野生動物が豊かな恵みを享受している。産卵のため生まれ故郷に戻るサケ。それを目当てに集まるヒグマやオオカミ。季節ごとに繰り広げられるダイナミックな命の営みは圧巻だ。
アメリカで初めて自然環境の保護を目的に設立された国立公園、エヴァグレーズ。乾季と雨季で表情が一変するこの公園には、水上にも水中にも様々な生き物が生息している。ピンクの羽根が美しいベニヘラサギ。絶滅が危惧されるフロリダパンサー。独特な狩りを繰り広げるイルカ。カリブ海と温帯林に挟まれた独特な気候と9つに上る生態系、「草の川」と称される大湿地帯など、ここにはエヴァグレーズの魅力が詰まっている。
ワシントン州北西部に位置するオリンピック国立公園。ここでは1つの公園の中で、荒々しい海岸線、氷河が覆う山々、うっそうと茂る温帯雨林といった全く異なる景観を見ることができる。多様性に富むのは自然だけではない。そこに暮らす生き物たちも多種多様だ。固有種のオリンピックマーモットや公園創設のきっかけとなったルーズベルトエルクなどの珍しい動物や、先住民が守り抜いた川に戻って来る大量のサケなどを紹介する。