"フランシス・ドレークはイギリス人には偉大な英雄である一方、スペイン人からは悪魔の化身「ドラゴン」と呼ばれていた。
奴隷商人のいとこを手伝っていた男がスペイン植民地の数々を襲い、果てはエリザベス1世におびただしい量の略奪品を持ち帰り、その地位を確固たるものにしていく。
また、ドレークはイギリス人初の世界一周航海を達成した人物としても知られ、世界で最も物議を醸した海賊として歴史に名を残している。"
グレイス・オマリーはアイルランドの一族長の娘として生まれ、船乗りを志す。父の後を継ぎ、女ながらに男たちを率いて海賊行為をする彼女は海賊女王と呼ばれた。結婚も利用して勢力を拡大し、噂は遠くイギリスまで届く。イギリス王室がアイルランドの完全征服を狙うなか、グレイスの息子が捕らえられる。助命嘆願のため彼女はエリザベス1世に直談判しにロンドンへ赴く。一族を繁栄させ長く生きた彼女こそが勝者と言えるだろう。
貧しい漁師として生まれ育ったジョン・ウォードは、一獲千金を夢見て海賊に転身。しかし法が変わり私掠行為が全面的に禁止となってしまう。海軍に入るも単調な仕事にうんざりし、逃亡して再び海賊になる決意を固める。地中海に名をとどろかせ、偶然立ち寄ったチュニジアの権力者に気に入られその地位を確固たるものにする。さらにそこでイスラム教に改宗して安息の地を得て、海賊の長老として悠々自適の暮らしを手に入れる。
ヘンリー・モーガンの代名詞は愛飲したラム酒だが、海賊という仕事においては優れた戦略家でもあった。その才能で彼は人間、財宝、スペイン植民地の町を容赦なく奪っていった。法を無視して略奪を続け、その罪で一時収監されるも、国王からナイト爵に叙され、副総督にまでなってジャマイカに戻ることになる。
"海賊狩りの任務を依頼されたスコットランド出身のウィリアム・キッド。任務地の紅海では免許状で許可された獲物が見つからず、海賊狩りから海賊に転向したと言われている。
なかなか期待どおりの成果が得られず、仲間たちからの人望も薄かった。キッドにとっても関係者にとっても不都合なすれ違いが起き、とうとう海賊裁判で起訴される。財宝と地位を必死に追い求めた男の証言は果たして真実だったか、偽証だったか。"
特徴的な姿と残酷な言動、黒ひげと呼ばれるエドワード・ティーチは恐ろしい海賊のイメージを自ら作り上げ利用した。人が恐怖し抵抗する気力を失えば易々と獲物が手に入る。巨大な海賊船を操り、自分の利益のためなら商人を襲うし仲間も裏切る。しかしカリブ海やアメリカ東部での海賊行為は植民地政府の目を引き、ついにはイギリス海軍に討伐された。今度はイギリス海軍が強敵を倒したと黒ひげを利用するのだった。
海賊の町として悪名高いナッソーは、無法地帯となったカリブ海を強く取り締まるイギリスによって、海賊がいづらくなっていく。この町でアン・ボニーは、キャラコ・ジャックと恋仲になり、ありきたりの生活を捨てて女海賊となる。やがて、既に船乗りだったメアリ・リードも加わり、共に周辺の海を思うままに荒らし回るのだが、そのうち海賊ハンターに捕らえられ、海賊行為で裁判にかけられる。
ブラック・バートことバーソロミュー・ロバーツは、黄金時代に最も成功した海賊であり、400隻以上を略奪して大船団を率いた。ウェールズの貧しい船乗りだった彼は、異例の早さで海賊船の船長に出世。海賊の掟を書き記すなど辣腕ぶりを発揮し、その海賊行為によって西インド諸島の貿易をほぼ停止状態に陥らせるが、イギリス王室によって追い詰められる。