カリフォルニア沖に浮かぶ5つの島と周囲の海から成るチャネル諸島国立公園。そこには2千種以上の動植物が生息する、生命の楽園と呼ぶにふさわしい場所だ。しかしほんの数十年前には、固有種のシマハイイロギツネや稀少なカッショクペリカンが絶滅の危機に瀕していた。過度な牧畜や農薬により生態系が破壊されかけたのだ。チャネル諸島国立公園における生態系の復活は、保全活動の有効性と自然の驚異的な回復力を証明している。
アメリカとカナダの国境近くに位置するボエジャーズ国立公園は、知名度は高くないものの、北米らしい素朴でユニークな自然があふれる場所だ。氷河が削ってできた水系は、周辺の森とともに複雑な生態系を育んでいる。広大な森はオオカミやヘラジカに住処を与え、豊かな水辺はカミツキガメやナキハクチョウを支えてきた。あまり気軽に行ける国立公園ではないが、それだけに森と水が織りなす美しい自然が残っている。
手つかずの自然が残るレイク・クラーク国立公園。アクセスの悪さから来訪者の数は少ないものの、火山や氷河、湖、北方林など、アラスカの魅力が凝縮された土地だ。火山活動が肥沃な土壌を生み、氷河が削り出した岩粉が湖をターコイズブルーに染める。夏から秋にかけて、この地に数十万匹のベニザケが戻ってくる。上流で産卵を終えると力尽きるが、その体は養分となって公園の隅々まで行きわたり、故郷の生態系を支えるのだ。
賑やかなマイアミ・ビーチの目と鼻の先にあるビスケーン国立公園。公園の90%は水に覆われ、サンゴ礁やマングローブの林、湿地帯など、多様な環境が存在する。海底には藻場と呼ばれる海草の草原が広がり、マナティーを始めとする稀少な野生動物の生存を支えている。しかし気候変動は、繊細な海の生態系にいち早く影響を及ぼす。南フロリダの豊かな自然を守る上で、ビスケーン国立公園は重要な役割を担っているのだ。
1年のうち6ヵ月間、雪と氷に閉ざされるグランド・ティトン国立公園。太平洋から流れ込む湿った空気がティトン山脈にぶつかって大量の雪を降らせる。カナダカワウソやコヨーテ、アカギツネなど、1年を通して活動するものもいれば、グリズリーのように冬は眠って過ごすものもいる。人間もまた遥か昔からこの地を夏の居住地としてきた。グランド・ティトン国立公園は、自然のリズムを尊重するものたちに十分な恵みを与えるのだ。