氷河特急は、人気の山岳リゾート、サン・モリッツとツェルマットを結ぶ山岳列車だ。この列車がアルプスの山々をぬい、危険な峡谷や壮大な山岳地帯を抜けて進む様子を、上空からの映像で見ていく。また、列車を滞りなく走らせるためには、そこに関わる人々の努力が不可欠だ。彼らは、深い雪だまりと格闘したり、最新技術で地滑りから線路を守ったり、爆弾を使って雪崩の危険性を取り除いたりしながら、日々この鉄道を支えている。
カナダに10ある州のうちのひとつ、マニトバ州を、南のウィニペグから北のチャーチルまで横断する列車の旅。上空から撮影した映像には、一面を雪に覆われた平原や北方林、凍り付いた不毛の地など、北極圏の風景の中を進む列車の様子が映し出される。こうした厳しい自然環境の中、線路の保全は困難を極める。沿線では技師たちが、雪や氷、そして時にはマイナス45度にもなる厳しい寒さと戦いながら、日々、線路の安全を守っている。
メキシコのチワワ太平洋鉄道は構想から完成まで100年を要した鉄道だ。山間の町クリールを出発し、勇壮なコッパー・キャニオンを横断。この谷には長距離走で世界に名を知られるタラウマラ族が暮らしている。列車はそのあと一気に標高を下げ、海沿いの町にある終着駅ロス・モチスを目指す。この鉄道の沿線は、落石や洪水やハリケーンなどに見舞われる厳しい自然環境だが、乗務員や技師の日々の努力が快適で安全な旅を支えている。
ダージリン・ヒマラヤ鉄道は、インド東部の平原、ニュー・ジャルパイグリから、ヒマラヤ山脈のふもとの町、ダージリンを結ぶ山岳鉄道だ。急こう配の斜面に、世界的にも珍しい、幅わずか60センチほどの線路が敷かれている。沿線には数々の難所があり、随所でインドの優れた鉄道技術が見られる。この鉄道の人気は100年ほど前に作られた蒸気機関車。世界最高峰の山並みを昔ながらの機関車が走る姿を上空からとらえた映像は壮観だ。
オーストラリアの豪華列車『ザ・ガン』は、海に面した南部のアデレードから熱帯の景色が広がる北部の町ダーウィンまで、2日半かけて広大な大陸を横断する。世界的にも名が知られた列車の行く手には、灼熱の砂漠の他、野生動物と衝突する恐れのある地域や、極端な気候が列車や線路に危険を及ぼす場所などもある。こうした厳しい環境の下、大勢の技師たちが24時間体制で、『ザ・ガン』と、3000キロに及ぶ線路を守っている。
ノルウェー第二の都市ベルゲンと首都オスロを東西につなぐベルゲン急行を上空から撮影。列車はノルウェー西部のフィヨルドや、雪に覆われたハルダンゲル高原を抜け、さらには深い森の中を下って進んでいく。観光だけでなく産業にもなくてはならないこの鉄道を守るため、厳しい自然環境の中、日々精一杯取り組む人々がいる。雪や氷の除去、野生動物の保護、傷ついた車両の修復――。彼らの努力がこの風光明媚な鉄道を支えている。