シャチは世界各地で、独自の戦略を駆使して、食物連鎖の頂点に立っている。パタゴニアのクジラ類は波打ち際でアシカを捕らえ、ニュージーランドのシャチは隠れたアカエイを一掃。ノルウェーの海の巨獣は尾ビレで叩く技をマスターしている。パワーあふれる5頭のシャチの家長が、一族に伝わる狩りのしきたりを次世代に引き継ぎ、風習が絶滅しないよう自分たちの生活様式をつないでいく姿をとらえた。
ニシンが豊富なアラスカ沿岸から南極海のエサ場まで、世界中の海を教室として、ザトウクジラの子供たちは家族の伝統を学ぶ。集団での漁、哺乳類で最長距離の回遊、そして複雑な歌を通じた求愛など、さまざまな教えが次の世代に伝えられていく。
ベルーガのグリーンランドの生息地には、謎に包まれた親戚のイッカクも暮らしている。2種類のクジラ類は、カナダ北極圏で夏を過ごすため、氷の迷路を抜けるスリル満点の冒険に繰り出す。いにしえから伝わる回遊ルートには、さまざまな危険が潜んでいる。極寒の環境から手ごわい天敵まで、家族の知識と絆で乗り切るしかない。
ドミニカ国、アゾレス諸島、スリランカの海を股にかけた壮大な旅を通じて、心優しい大型生物の複雑な文化を紹介する。マッコウクジラの将来は、次世代がさまざまな習わしや家族の文化と秘密を身につけることができるかどうかにかかっている。