アルプス山脈に訪れた春。マーモットが6ヶ月の冬眠から目を覚ました。イヌワシへの警戒が怠れない中、体を動かしたり食事をしたりと大忙し。山の斜面では、雪解けを待ちかねていたかのように、無数のクロッカスが咲き乱れている。高山地帯のキンポウゲの仲間は、2年をかけて花のつぼみをほころばせた。しかし、それを無慈悲にもかじり取ってしまう野生動物。アルプス山脈の懐に抱かれた多様な命の姿を見つめていく。
雪と氷に覆われた、長く厳しいアルプス山脈の冬。大陸プレートの衝突、氷河による浸食などあらゆる要因によって形作られた複雑で美しい山々の景観。しかし、生き物にとって、それは激しい吹雪や雪崩の危険性と隣り合わせの厳しい環境を意味する。アルプスに生息する生き物たちは、世代を超えて構築してきた独自の生存戦略を駆使し、次世代へと命をつなぐべく奮闘している。アルプス山脈の過酷な冬を生き抜く生き物たちの様に迫る。