カリフォルニア州オークランド。“コークランド”と揶揄される街にはコカインをはじめ、あらゆるドラッグが蔓延。財政難や警察の汚職が発覚した影響で警官の数が減少し、通りでは銃撃戦が日常茶飯事に。無法地帯と化した街角ではオピオイド系の鎮痛剤、咳止めを混ぜた飲み物、ヘロインとコカインの混合物など若者が思い思いにドラッグを楽しむ。防弾仕様の特殊車両でドラッグの押収に向かう捜査官たちの戦いにも密着。
鉄鋼業で栄えたメリーランド州ボルティモア。市街地はかつての活気を失い、困窮する人々はドラッグの売買に手を染めるように。街ではヘロインが圧倒的なシェアを誇る。ディーラーたちは高い需要に応えるため混ぜ物をした“スクランブル”と呼ばれるヘロインの一種を街に流す。郊外では鎮痛剤の乱用も深刻な問題に。ヘロイン欲しさに市街地に通うようになった郊外の白人の若者たちが増え、街のドラッグ事情は少しずつ変化している。
アメリカの首都ワシントンDC。黒人が多く暮らす南東部のアナコスティアには何十年も前からPCPが君臨し続けている。黒人が作る黒人のためのドラッグと言われるPCP。安くてハイな状態が長続きする液体はタバコに浸した形で売られ、吸った者は痛みを感じず現実が分からなくなる。狂暴になったり、裸になったりして街を徘徊する者が後を絶たず、警察や地元の医療センターが日々対応に追われている。
若者が多く、クラブ文化が盛んなジョージア州アトランタ。一晩中ハイになって踊り明かしたい若者はモリー(MDMA)を愛用する。モリー撲滅を目指すアトランタ市警は得意のおとり捜査で供給網を断ち切ろうと日々奮闘。一方、街では、需要の高まりを背景に粗悪なモリーも大量に流れるようになった。MDMAが一切含まれていない中国産のフェイクモリーも登場。客が死ぬ危険もあり、ディーラーたちの新たな悩みの種となっている。
オレゴン州ポートランド。緑豊かで進歩的な街は行政の支援が手厚く、ホームレスにとっては天国だ。路上にはオピオイド系の鎮痛剤にハマり、やがて安価なヘロインに手を出しやめられなくなった若者があふれている。ヘロイン欲しさにディーラーになった学生もいる。過剰摂取で倒れる人々も多いがポートランドではもはや見慣れた光景だ。地元警察はメスやヘロインの供給源であるメキシコ系カルテルの摘発を目指し、街を走り回る。
ミネソタ州のミネアポリスとセントポール、通称「ツインシティー」はアメリカの主要都市圏の中で高い雇用率を誇る。カネが集まるところには当然のようにドラッグが流れてくる。街のディーラーたちは主にメキシコから運ばれてくるヘロインを、車で移動しながら売る。そんな彼らを追うため、捜査機関は捕まえた売人に刑の免除を持ち掛け寝返らせる作戦を展開。仲間の裏切りにおびえるディーラーたちと捜査機関との攻防に密着する。
メキシコから流れ込むドラッグの最初の寄港地、テキサス州ダラス。メキシコ系のカルテルにとってここはドラッグの消費地としても、流通拠点としても重要な場所だ。街中ではカルテルの息がかかったギャングたちがトラップハウスと呼ばれるアジトでドラッグを売る。今回はギャングの掟を忠実に守ることで出世を目指す若者や組織には属さずに一攫千金を狙う若者たちの生きざまに密着する。
世界有数の大学が連なる学問の都、ボストン。ドラッグ市場はメキシコのカルテルと結託したドミニカ系の麻薬組織が支配。黒人やプエルトリコ系のディーラーを操ってヘロインを売りさばき、大金を稼いでいる。混ぜ物が多く、思うようにハイになれないヘロインに不満を持つユーザーは、ベンゾと呼ばれる鎮痛剤とヘロインを併用。過剰摂取で命を落とす若者が絶えない現状を、行政や警察、市民が憂慮する。
テネシー州メンフィス。観光客でにぎわうエルビス・プレスリー大通りのすぐそばにはディーラーたちがたむろする危険地帯が。街を支配していたコカイン王が逮捕されたことで周辺のドラッグ市場は一変。コカインの供給が枯渇し、代わりに人気が高まるヘロインを売ろうとディーラーたちが群雄割拠する。彼らはアジトに押し入る強盗を警戒し最大限の武装をしている。捜索に入った警官が撃たれる事件も相次ぎ、一触即発の状態が続く。
モルモン教の総本山があるユタ州ソルトレイクシティー。人口の6割が教会に通う信仰心篤い聖都はドラッグとは無縁に思えるが、魔の手は意外にもすぐそばに…。アルコールやカフェインさえ禁止する厳しい教えを守る傍ら、処方薬を転売する教徒、街で人気が高まるヘロインの売り上げを人知れず教会に寄付している長老、伝統的な価値観に耐えられずドラッグに手を染めた母親など、宗教都市ならではのドラッグ事情を紹介する。