ラスベガスは砂漠に現れたオアシス。この巨大な歓楽街で法を犯し拘置所に収容された者は、外の世界に残してきた家族を思い苦しむのだが、残された家族もまた収容されてしまった者の不在に苦しんでいる。突然一家の大黒柱を失い、途方に暮れる母親と幼い子供たち。薬物の影響下で運転し、片足を失った母親を待つ2人の息子。そんな家族を思い、薬物依存やギャングとのつながりを断ち切ろうと苦悩する収容者たちの葛藤の日々を描く。
拘置所に収容される者の中には薬物やアルコールの依存者、精神を病んでいる者、あるいはそのどちらも抱えている者もいる。そんな彼らを、薬物治療の施設へ送るか、精神科病棟へ送るかを決めるのはとても難しい。精神疾患を抱えた者を釈放すれば、何度も犯罪を繰り返し拘置所へと舞い戻ってくる。また度重なる薬物使用は精神疾患へとつながり、ついには刑務所以外のどこにも居場所はなくなる。そして更生の道はさらに遠くなるのだ。
クラーク郡拘置所には、初犯と常習者が一緒に裁判を待っている。収容者の中には裁判で服役を逃れるためにウソをつく者もいるし、拘置所内でのルール違反を犯して懲罰となっても、それを逃れるためにウソをつく者もいる。しかし供述している本人でさえ、それが真実なのか虚構なのかわからなくなっていることも。精神疾患による虚言なのか、ウソのような真実なのか。それを見抜くのは、たとえ鑑定のプロだとしても至難の業になる。