台湾客家人の最古の都の1つである六堆。台湾に渡った客家人がこの土地に定着したのは、豊かな水源に恵まれた肥沃な土地に引き付けられたためだ。断層に沿って点在する泉を水源として農業を発展させ、自然の恵みを最大限に活用してきた。水に支えられた繁栄の下で、先祖を敬い、教育を重視する客家の精神が脈々と受け継がれ、建築物を含め伝統文化が着実に継承されている。六堆各地に生きる客家人の現在を描く。
台湾料理の中でも独特な客家料理は、入植した農家の厳しい生活から発展し、塩辛さや脂っこさ、香ばしさを特徴とする。山や平野、海といった多様な自然に恵まれた六堆の食文化の基本は地産地消であり、1年間熟成させるしょうゆや20年物の大根の塩漬けなど、時間も重要な調味料の1つである。この日、台湾客家の文化を保全・伝承する六堆客家文化園区では、1000人以上のゲストに伝統の味を振る舞う食福宴が開催されようとしていた。
台湾客家人の最古の都の1つ六堆は、山、平原、沿岸で自然の恵みを最大限に利用して発展してきた。客家人は伝統を重んじつつ、産業や文化を未来に継承するためにさまざまな創意工夫を凝らしてきた。客家文化において象徴的意味を持つ伝統工芸品である油紙傘は、制作技術の習得に長い年月を要するが、新たな担い手が存続の道を模索している。また、カカオの栽培とチョコレート生産という新たな産業への挑戦も実を結びつつある。