市長選を数ヵ月後に控えたイリノイ州シカゴで、黒人の少年ラクアン・マクドナルドが白人の警察官ヴァン・ダイクに16回撃たれ死亡した。この事件にアフリカ系市民が強く反発し、現職のエマニュエル市長は今期限りでの退任を発表。するとクック郡長プレックウィンクルを始め多くの候補者が出馬を表明し、激しい戦いが始まった。若手候補もSNSなどを活用し奮闘する。一方、ヴァン・ダイクは殺人罪に問われ、裁判が行われる。
黒人少年が白人警官に撃たれ死亡した事件の裁判が行われ、被告人ヴァン・ダイクの有罪が確定した。一方で市長選の候補者たちは、出馬の条件である請願書の提出に挑む。無事に提出しても安心はできない。ライバル候補に請願書の不備を申し立てされれば、立候補できなくなる可能性もあるからだ。このプロセスを利用して、さっそく候補者間の潰し合いが始まった。シカゴの選挙は、まさに血の争いと呼ぶにふさわしい激戦だ。
市長候補とつながりの深い大物市会議員エド・バークが起訴された。このスキャンダルを材料に、ローリ・ライトフットとトニ・プレックウィンクルは激しい舌戦を繰り広げる。請願書に対する異議申し立て手続きも続行中。申し立ての取り下げで救われる候補もいれば、立候補を断念する候補も。年明けには期日前投票がスタート。支持率調査ではプレックウィンクルが首位に立つものの、全市民の25%は投票先未定であり、勝敗は読めない。
投票日を数週間後に控え、選挙戦はラストスパートに突入。教会に多額の寄付をしたり、有権者の自宅を訪問したり、票集めの方法はさまざまだ。そして、ついに迎えた投票日。決着は決選投票にもつれ込み、地道な選挙活動で支持を拡大したライトフット候補が、本命と目された大物政治家プレックウィンクル候補を破って波乱の選挙戦は幕を閉じた。しかし、選挙に勝つことはゴールではない。新市長の前には多くの課題が山積みだ。
市長選から1年後。新型コロナウイルスの流行に見舞われたシカゴでは、ライトフット新市長が強いリーダーシップで街を引っ張り市民に高く評価されていた。しかし、黒人男性ジョージ・フロイドが警官による暴行で死亡した事件をきっかけに、にわかに人種間の緊張が高まり警察への批判も再燃。略奪行為や警察と市民の衝突が発生し、市長の自宅にもデモ隊が迫る。ライトフットは、分断されたシカゴに対話を散り戻せるのだろうか。