豊かな自然と多様な生物に恵まれるメキシコ。そうした多彩な環境に生きる多様な生物の生態を探りながら各地を旅する。太平洋に突き出たバハ・カリフォルニア半島の海中から沖のグアダルーペ島を経て、本土西部のソノラ砂漠に上陸。メキシコの背骨シエラ・マドレ山脈を越えて、東の山麓ハノスの生物保護区。西部の平地からユカタン半島に入り、マヤの熱帯雨林を抜けて、カリブと大西洋の海洋生物が回遊するメキシコ湾に出る。
世界に誇る生物多様性の国メキシコ。しかし最も豊かな環境は最も激しい生存競争も生む。密林、湿地、砂漠、海。そこではそれぞれの種が最大限に繁栄するいっぽう捕食動物と獲物が生き残りを賭けて永遠の戦いを続けている。今回はそうした弱肉強食の世界の生存競争を見て回る。ソノラ砂漠のさまざまな動物からチアパス州ラカンドン密林のサル、ワシ、ジャガーの攻防、コルテス海のクジラなど、それぞれのユニークな生態を探る。
生物多様性を世界に誇るメキシコ。太平洋からユカタン半島、シエラ・マドレからソノラ砂漠へとのさまざまな自然環境のなかで、そこに適応した野生生物がどのように一生を送り、その命がどのように次の世代へと循環していくのかを見ていく。そこでは人間も回転する自然の一部だ。砂漠と雨林、一見まったく逆の世界に見えるが、生命の営みと再生が同じように、しかも永続的に繰り返されている。