アメリカ北西部の太平洋沿いに伸びるカスケード山脈。その一部を成すハイ・カスケーズは、アメリカ本土で最も活発な火山群だ。山の斜面ではキツネが遊び、岩だらけの渓流ではオガエルが繁殖する。また標高の高い森ではアメリカテンが狩りに勤しむ。しかしこの美しく穏やかな風景は、ある日突然失われるかもしれない。火山活動によって形成されたこれらの山々では、地下で煮えたぎる溶岩がいつ噴出しても不思議ではないのだ。
カリフォルニア州の海岸沿いに広がるセコイアの森。ここには世界一の樹高を誇る木々が自生している。そしてここは、様々な珍しい生きものたちの住処でもある。木々の間に要塞を築くモリネズミや、原始的な姿をした古代の魚、花から花へと飛び回る可憐なハチドリ、そして樹上から獲物を狙うサンショウウオ…。カリフォルニアの自然に適応した巨大なセコイアの森と、そこに暮らす生きものたちを紹介する。
アメリカの北西部に位置するモンタナ州には、美しい氷河を抱く山々が連なっている。氷河に削られた深い渓谷、切り立った断崖、年間を通して氷が残る湖。冬の寒さが厳しいこの大自然には、驚くほど多様な生き物が生息している。ハイイログマやシロイワヤギ、メキシコカワガラスなどの野生動物が、それぞれに適した場所を住みかとしているのだ。しかし生き物たちに恩恵を与えるこの氷河が、数十年後には消滅するかもしれないという。
アメリカ北西部に雄大にそびえるロッキー山脈。雪に覆われた山頂から緑豊かな渓谷まで多様な環境を擁し、さまざまな生きものの住処となっている。しかしそこでの暮らしは決して楽ではない。猛烈な吹雪から突然の洪水、極度な暑さまで、荒々しい自然現象が生きものたちを苦しめる。アメリカクロクマやビーバー、ピューマ、ヤマアラシ、プロングホーンなど、美しくも厳しいロッキー山脈に生きる野生動物たちを紹介する。
カリフォルニア州の最西端、サンシメオンからモントレーに至る海岸線は、生きものたちの楽園だ。回遊の途中で腹ごしらえをする巨大なザトウクジラや、オス同士の壮絶なバトルを繰り広げるゾウアザラシ、水面に浮かんで貝を食べるラッコ、海岸の崖の上でひっそりと暮らすボブキャットなど、豊かな自然環境が多くの野生動物を育んでいる。海岸にそびえる絶壁から世界最大の海底渓谷まで、カリフォルニアの手つかずの自然と出会う。