北朝鮮の建国の父であり、金一族神格化の第一人者である金日成国家主席。まずは彼の青年時代にまで遡り、3代にも及ぶ独裁国家の始まりを紐解く。第二次世界大戦後の1948年に金日成が北朝鮮のトップへと上り詰め、その約2年後に勃発した朝鮮戦争。1968年に起きた北朝鮮ゲリラによる韓国大統領官邸襲来未遂事件。同年に北朝鮮が米情報艦を拿捕したプエブロ号事件。これらの事件をきっかけに深刻化した当時の北朝鮮と韓国、北朝鮮とアメリカの関係を考察する。
1970年代、金日成の後継者には数名の候補がいた。そこで後継者に選ばれるべく動いた男が金正日である。軍事に長けていなかった彼が取ったアピール方法とは、北朝鮮制作の映画で世界中に国名を轟かせること。しかし北朝鮮には有能な映画製作陣が存在しなかった為、韓国の有名映画監督申相玉(シン・サンオク)と、その妻で女優の崔銀姫(チェ・ウンヒ)の拉致を決行。この事件に関する記録が残されており、北朝鮮より入手した極秘の肉声テープには金正日の肉声が含まれていた。その内容から、驚くべき北朝鮮の秘密が明らかになる。また1987年に起きた大韓航空機爆破事件の実行犯である金賢姫元工作員のインタビューでは、事件にまつわる暗い真相が明かされる。
1994年、金日成が心筋梗塞のため死去。時代は冷戦が終結したばかりであった。その3年後、金正日が党総書記、国防委員長に就任。飢餓と貧困にあえぐ国民達を横目に、金正日は贅沢三昧の日々を過ごしていた。そのあまりにも贅沢な日常を、彼の元料理人であり、後に3代目の指導者となる金正恩の子守役でもあった藤本 健二氏が目の当たりにしていた。その藤本氏をよく知るアダム・ジョンソン氏(ピュリッツァー賞フィクション部門受賞作家)が、藤本氏から聞いた体験談と共に北朝鮮の知られざる顔を語る。世界を恐怖に陥れた北朝鮮の核開発について、そして金正恩の幼少時代についても言及していく。
2011年に死去した金正日の後継者となった金正恩が、2012年に北朝鮮の全権を掌握。彼が追った背中は、父である金正日ではなく、祖父である金日成であった。金正恩は、未だかつて北朝鮮が成しえなかった米国大統領との米朝首脳会談(2018年)にまでこぎつけている。会談に至るまでの経緯、そしてその思惑とは?また、金正恩の実の叔父である張成沢の処刑(2013年)や、異母兄弟である金正男の暗殺疑惑(2017年)は国際社会に大きな衝撃を与えた。その一方で、金正恩と親しい元NBA選手のデニス・ロッドマン氏は、金正恩の意外な素顔を語る。金正恩を取り巻く人々、国家、そして環境を検証し、その人物像を浮き彫りにする。