ジェーン・グドールとチンパンジー研究
幼少時代からゴンベまで
チンパンジー研究の先駆者となったジェーン・グドール。英国で生まれ、幼いころからアフリカで野生動物と暮らす生活を夢見ていた。家が裕福ではなかったため大学には行けなかったが、アフリカへと続く道はあると信じ、ウェイトレスのバイトで資金を貯めてナイロビへ向かった。そこで人類の起源に関する最先端の研究を進めていた高名な古人類学者ルイス・リーキーと出会う。彼は、既存の学説に惑わされず、知的好奇心と動物愛に満ちた調査員を探しているとこだった。そこで選ばれたのが、科学的な教育を受けておらず、学位も持っていないジェーン(当時26歳)。生態がほぼ知られていなかったチンパンジーを研究するべく、ジェーンはナイジェリア北東部のゴンベに向かった。そこで彼女は、後に科学界に衝撃を与える発見をする。番組では、その研究の様子を収めた未公開映像を紹介します。
ゴンベでの研究
細かい研究内容や研究方針は決まっていなかったので、まずはチンパンジーと共に生活をして彼らに受け入れてもらう事が目標だった。研究を始めて5ヶ月が経過していたが、チンパンジーに近づくと警戒されて逃げられてしまう。このままでは観察も出来ずに資金が尽きてしまうのでは…と不安だったという。焦燥感ばかりが募っていたが、ある朝、顎に灰色ひげがある見慣れた雄のチンパンジーを発見。彼はジェーンを見ても逃げようとはせず、彼の後をついていった先にいた他のチンパンジー達も、彼女を見ても逃げる素振りすら見せなかった。これこそ、ジェーンが待ち望んだ瞬間、ついにチンパンジーたちに受け入れられたのだ。その後、時を重ねてジェーンとチンパンジーは手を繋いだり毛繕いをしたり隣でただ座って時を過ごすまでの仲になる。番組では、そんなゴンベでの研究の一部始終を紹介します。
チンパンジーたちとの生活
ジェーンは特に長い時間を共に過ごしたチンパンジーたちに名前を付けていた。灰色ひげがあるデビッド(穏やかで威厳がある)、ゴライアス(群れで最優位のオス)、ミスターマクレガー(好戦的)、フロー(耳が裂けていて団子鼻)、フィフィ(フローの娘)、フリント(フローの息子)。番組では彼らがジェーンと戯れる姿を多く見ることができる。その映像からは、種族を超えた繋がりが確かに感じられる。
チンパンジーから教わったこと
フリント(フローの息子)が生まれると、初めてチンパンジーの親子関係を研究することに成功した。ジェーンは、この研究を経てフローを母親の鏡と呼び尊敬した。自分の子供を守るが、過保護では決してない。深い愛情と遊び心を持ち、子供を支える様子に感銘を受けた。後にジェーン自身が母親になった時も、フローをお手本に子育てについて向き合った程だ。ジェーンはこの番組では、研究を通して学んだそんな教育論についても語っている。
チンパンジー研究での発見事例
ジェーンは今なら誰もが知っているチンパンジーの3つのことを、ゴンベで発見した。これらの発見に至るまでの研究の経過と、発見後の様子も番組では紹介している。
1. 雑食
類人猿は肉を食べないという従来の定説があったが、小動物の死骸にかじりつくチンパンジーが観察され、雑食性が認められた。
2. 道具を使用する
細長い葉を手に持ち、アリ塚の隣でしゃがみこむチンパンジー。なんと葉を穴に差し込んでから、引き出すと葉についたシロアリを食べていたため、チンパンジーの道具の使用が認められた。
3. 道具を作る
アリ塚に葉を差し込むという道具の使用だけではなく、小枝を手に取り葉をむしるという、道具の製作の様子も観察された。