サンクト・ペテルブルグにある宮殿や大聖堂、美術館に展示されている作品などは、世界に誇れる芸術や建築であり、目を見張るものばかりだ。まさに、ロシア帝国の黄金期の輝かしい象徴である。しかしそのまばゆい光の陰にある暗黒の歴史によって、ロシアの至宝のいくつかは危機に瀕してしまった。この都市のかつての輝きを再び現在に示そうと選ばれたわずかな保護対象物が、今では歴史的遺産として大切に守られている。
スペインのバルセロナにそびえる美しい大聖堂、サグラダ・ファミリア。着工から130年以上を経過した今も建設は終わっていない。専門家チームは、この傑作を生み出した天才建築家アントニ・ガウディの没後100周年に間に合わせるために、急ピッチで作業中だ。教会の完成には、単に革新的な技術や献身的な労働だけでなく、最先端テクノロジーや実際の工事作業、当時の工法に関する細やかな知識が必要となる。
アマゾン熱帯雨林の中心部には他に類を見ない生態系がある。多様性に富んだある区域をユネスコは世界遺産に認定した。しかし現在ここは、環境の変化に脅かされつつある。誰かが行動を起こさなければ近い将来この広大な原始林は乾ききり、その影響はアマゾンだけでなく地球全体にとって壊滅的なものとなる。そこでこの熱帯雨林の保護に人生を捧げようと、勇敢な4名がチームを組んだ。彼らの活動に密着する。
世界で最も壮麗な愛の記念碑として知られるインドのタージマハル。360年以上前に建てられたこの建造物には倒壊の危険があるという意見が出始めた。タージマハルの保護担当者たちはこの主張を否定するも、著しい環境汚染と大型観光開発の脅威に日々さらされているのは事実。そこでタージマハルの安定性の調査を、2つのチームが異なる方法で実施することになった。果たして倒壊の危険は本当に迫っているのだろうか。
日本の伝統文化の中心地であり、世界遺産が多数存在する京都に近代化の脅威が迫っている。古い町並みは徐々に姿を消し、昔ながらの慣習も失われつつある。そんな中、様々な分野の第一人者たちが、変化の波に逆らって京都の伝統文化を残そうと立ち上がった。伝統と現代がぶつかり合う中,創意あふれる方法で京都の文化的独自性を守ろうとする人々の活動に焦点を当てつつ、世界遺産である二条城の唐門の修復作業も紹介する。
フランスからアメリカに贈られた自由の女神像は、世界遺産であり世界的な自由の象徴である。9.11事件以降、有事に備えた避難経路を新設するため、像内部への立ち入りを禁止しての大規模な改修工事がアメリカ国立公園局によって進められた。9.11の悲劇に屈することなく、アメリカの象徴は今もニューヨーク港に堂々とした姿を見せる。女神像の保護と観光客の安全保障に努める、関係者の取り組みと想いを紹介する。
東アフリカのタンザニアにそびえる世界を代表する山、キリマンジャロ。その山頂を覆う白い帽子のような氷河は、キリマンジャロの象徴だ。しかし、数千年の間に、その氷河が驚くべきスピードで消失し、川や森が干上がりつつある。その問題に、1人の男が立ち向かう。現在のキリマンジャロの状況についての認識を広めるべく、自らの身体能力と世界に広がるネットワークを利用し、ウルトラマラソンを企画。開催するまでの奮闘する姿を追う。
トルコ中部の奥地に、まるで別の惑星のような風景が広がる。そこはキノコのような形をした奇岩群や1000年以上前の洞窟住居などで知られる世界遺産の地、カッパドキア。毎年200万人以上の観光客がこの地を訪れるが、人為災害や自然災害などによって、その美しくも不思議な景観が失われようとしている。この人類共通の財産であるカッパドキアを守る闘いに挑む人々の姿を追う。
世界で最もイスラム教徒の多い国、インドネシアにあるボロブドゥル遺跡。仏教の聖地であり、またユネスコに登録されている世界遺産として、多くの観光客を集める場所である。しかし環太平洋火山帯に位置するインドネシアでは、地震や火山活動が多く、この古代寺院にも火山灰は容赦なく降り注いできた。そんな自然の猛威や人間の手から寺院を守り、1200年の歴史を持つ仏像を復元しようとする人々にカメラが密着する。
オーストラリア北東部の沖合に広がる世界最大の珊瑚礁、グレート・バリア・リーフ。その美しい光景は、宇宙からも確認することができ、世界で最も多種の海洋生物が生息する場所の1つとして知られている。しかし、海洋温暖化、海洋汚染、船舶活動、さらには港の開発によって、珊瑚礁が大きな被害を受け続けている。珊瑚礁を守るために地道な調査を続ける海洋生物学者のチームと、様々な形で貢献する地域の活動家たちを紹介する。
ルイ14世が建造したヴェルサイユ宮殿。その建築美は傑作として世界遺産にも登録されている。宮殿内には、美しい刺しゅうや光り輝く金の装飾が施され、価値を付けることができない芸術作品の数々が飾られているが、時の経過と観光客により劣化が進むという問題に常に直面している。この番組では、豪華絢爛な宮殿の裏に迫り、宮殿を守る職人、管理人、警備員に密着。彼らは、フランスのシンボルを未来に残すべく奮闘していた。
世界遺産に登録されているカンボジアのアンコール遺跡群。この壮大な寺院遺跡は、数百年にわたり放棄されていた。そして現在、この世界最大級の宗教的記念碑は、再び失われる危機にさらされている。伝説的なこの建造物を保存・修復し、かつての栄華をよみがえらせるには多くの力が必要だ。地元住民が母国の文化遺産を後世に残そうと奮闘する一方で、研究者たちは過去に放棄された理由について新しい手がかりを発見する。
言わずと知れた日本のシンボルである富士山が、文化遺産として世界遺産リストに追加されたことは記憶に新しい。この霊峰の美しいたたずまいを一目見ようと、毎年数十万という登山客が世界中から訪れる。世界遺産に登録されたことで一層の注目が集まるなか、地元の山岳救助隊や山小屋の運営に携わる人々たちが、登山中に起こり得る事故や高山病などの危険から人間を守り、また人間から自然を守る活動を熱心に行っている。
アメリカ・フロリダ州南部に広がるエヴァグレーズ国立公園には、多種の希少な動植物や絶滅危惧種が生息する。しかし今日、野生化したペットなどの外来種が在来種を絶滅の危機に追いやり、自然な水の流れを阻むダムと運河網もまた、生態系を崩壊の危機に直面させている。深刻な状況を受け、ユネスコはエヴァグレーズ国立公園を危機遺産に登録した。この湿地帯に自然の均衡を取り戻そうと、保護活動に取り組む人々の姿を追う。
毎年、その豊かな史跡・遺跡を目当てに何万人もの観光客でにぎわうイタリアの水上都市ヴェネツィア。美しく活気ある表向きの顔とは裏腹に、実は深刻な危機に直面している。街を囲むアドリア海から押し寄せる高潮で、水没の危険にさらされているのだ。浸水によって次々と破壊されていく貴重な芸術作品や建築物。工学技術を駆使した一大プロジェクトは、果たしてこの「沈みゆく都市」を高潮から守ることができるのだろうか。
神秘の生命が息づく絶海の楽園、エクアドルのガラパゴス諸島。世界自然遺産であるこの地には多くの固有種が棲んでおり、ダーウィンが説いた進化論を裏付ける、いわば「生きた研究所」だ。しかし現在その自然環境が脅かされている。人口増加に伴うインフラ整備、侵略的外来種の流入、密漁など、原因は全て人間にあり、ガラパゴスの繊細な生態系がバランスを崩しているのだ。生き物たちの保護活動に励む専門家たちの姿を追う。
中世の街並みがそのまま残るチェコ共和国の首都プラハは、世界遺産に登録されている。特にプラハ城やその城内に立つ聖ヴィート大聖堂、旧市街広場やカレル橋などには、ヨーロッパの歴史が凝縮されており、プラハのシンボルである。1000年以上にわたり、時と自然の脅威に耐え、受け継がれてきた多くの歴史的遺産を守り次の世代へ残していこうと、専門家や職人、保護活動家たちが新旧の技術を駆使しながら努力を続けている。
トゥルカナ湖国立公園群は、ケニア北部にある世界最大の砂漠湖を中心とする世界遺産である。160万年前の人類の化石が発見され古生物学的にも重要な場所だが、深刻な干ばつにより枯渇の危機に瀕している。湖畔に住む人々の暮らしを助け、この人類発祥の地の未来を守るため、専門家たちが努力を続ける中、ついに幸運が訪れる。衛星を使った探査技術で、半世紀以上もケニアに水を供給できる巨大な帯水層が見つかったのだ。