北朝鮮を世界有数の統制社会に変貌させた金日成(キム・イルソン)の策略を検証する。1950年頃に権力を握って以来、金日成の政権は民衆の生活のあらゆる面だけでなく、人々の現実の受け止め方まで、型にはめようとしてきた。現在では、金日成の孫である金正恩(キム・ジョンウン)が、家族の伝統にならい絶対的な権力を振るっている。金ファミリーは神であり、北朝鮮は地上の楽園だと民衆に信じさせているのだ。
暴力、脅迫、拷問などの残虐な手段を利用してイラクを約四半世紀支配した指導者サッダーム・フセイン。なぜ彼はこれほど長い間、支配者の座につくことができたのか。若い頃から独裁的指導者としての本能を培ってきた彼の行動は、徐々に過激さを増していく。イラン・イラク戦争、クルド人への攻撃、湾岸戦争、イラク戦争。様々な戦いを生みだしてきた彼が、どのようにして人々を支配してきたのか。その策略を検証する。
極右勢力が台頭する現代は、ムッソリーニの時代に重なる。ファシズムの生みの親ムッソリーニは、忘れられがちだったが、今また存在感を増している。ファシズムはどのように生まれ、巨大に育ったのか。祖国イタリアを思う社会主義ジャーナリストだったムッソリーニは、どのような策略をめぐらせて権力の座に就いたのか。独裁政権の先駆けであり、ヒトラーに尊敬されていたというムッソリーニの、失脚や壮絶な最期も検証する。
ヨーロッパ史上最長となる35年間の独裁政権を維持したフランシスコ・フランコ。いじめられっ子の小柄な少年であったフランコは、没落したスペイン帝国の復活を夢見て陸軍将校となり、いつしかカリスマを身につけ、スペイン内戦を勝ち残り独裁者への階段を上り詰めてゆく。社会主義と伝統主義に二分されたスペインを戦乱の渦に巻き込みながら、フランコはどのように人民を支配し、長期政権を実現させたのか。その戦術を紹介する。
1980年代にパナマ軍のトップに立ち、事実上の独裁者となったマヌエル・ノリエガ将軍。同じく軍人としてパナマを実質的に支配したトリホスのもと、軍諜報部の責任者として活躍し、権力の座に近づいたノリエガには、政敵の暗殺や麻薬の密売など、黒い噂が絶えなかった。パナマ運河をめぐるアメリカとの確執や中南米に広がりつつあった革命運動との関係など、スラム街出身の少年が国家の最高権力者に上り詰めた背景を幅広く検証する。
イディ・アミンは残虐な独裁者として知られる。巨体で、すさまじい拷問を行い、数十万人を虐殺したという。彼はどうやって権力の座に就き、暴力的な独裁政権を維持したのか。単なる極悪非道の暴君か、それとも戦略があったのか。イギリスの植民地だったウガンダで生まれ育ったアミンは、植民地軍で頭角を現した。国際情勢と祖国が急激に変化するなか、アミンはチャンスをうかがい、素早く動いて、権力を手に入れていく。