1963年、インドネシアから帰還した水兵がスウェーデンのストックホルムに病原菌を持ち込んだ。水ぼうそうと誤診されたそのウイルスは、20世紀の100年間で3億人を死に至らしめ、例え生き延びたとしても視力を奪い見るに耐えないほどの傷跡を残す<天然痘>だった。
1996年、スコットランドの小さな町でバクテリアの増殖により、何百人もの人が激しく嘔吐しだした。猛威を振るう連続殺人バクテリアから逃げる術は皆無に等しい——。その正体は<病原性大腸菌O-157>。感染すると、腎不全、出血、麻痺を引き起こし、ついには死に至る病原体だ。
2003年3月、ある男性の中国広東省から香港のメトロポールホテルへの旅が悪夢の始まりだった。医師たちは当初の異型肺炎との診断に疑問を持ち始める。この新型ウイルスの存在を警告し患者を救おうとした医師たちは、自らも感染し命を落としていった。世界を震撼させた
1963年、3人のアメリカ人科学者が、ボリビアのサン・ホアキンで猛威を振るっていたウイルスの解明と抑制にあたった。この病はマチュポウイルスによるもので、現地では<黒チフス>と呼ばれ、発熱、頭痛、筋肉痛を引き起こし、病状が進行すると患者の上半身には血豆のようなものができ鼻や歯茎から出血し始める…。
1976年7月、大統領選の準備と米国独立200年祭で大盛り上がりをみせていたフィラデルフィアで、謎の病原体が祝賀祭に参加した在郷軍人の命を奪っていった。後に<在郷軍人病>と称されるこの病原菌は、高熱、臓器不全を引き起こして死をもたらす。彼らの命を奪ったのは何なのか?
1999年、マレーシアを横断した未知のウイルスが、感染者の半数以上の命を奪っていった。現地の医者はマレーシアの蚊が日本脳炎のウイルスを運んだと診断したのだが、その後、アメリカの疾病管理予防センターの調査により、伝染性の新ウイルス<ニパウイルス>だということが判明する。