ナショナル ジオグラフィック

イヤーミリオン

原題: Year Million
イヤーミリオンの写真

番組内容

それは未来への進歩か、種の根絶か
将来、人間の暮らしはどう変化するだろう? 未来の世界では、至る所に人工知能が存在し、発達した医療と生物学のおかげで寿命が飛躍的にのびるかもしれない。さらにテレパシーやバーチャルリアリティーによって、コミュニケーション、仕事、学習の手段も今とはまったく違うものになるだろう。やがて人類は宇宙へ。そこでは新たな惑星、資源、未知の生命体に出会えるかもしれない。そんな未来は我々に何をもたらすのか?

■二ヶ国語
■60分/6話

番組のみどころ

見どころ1 ドラマとドキュメンタリーの融合
未来の人類を描くドラマと著名人のインタビューなどの現代ドキュメンタリーが融合されている。
ドキュメンタリー部分では、科学の発展や、テクノロジーの進化が及ぼす人類への影響を紐解くが、興味深いのは未来の人類を描いている再現ドラマが基軸となっているところだ。主に描かれるのは、父、母、一人娘の核家族。しかし、現代の我々には想像もつかないような”事情”を抱えている。それは、交通事故で命を落とした一人娘のジェスをアンドロイドとして蘇らせ、通常の生活を送っているという事だ。2017年の今から見ると、ありえない”事情”だが、番組内の地球ではごく当たり前の常識としてえがかれているから面白い。この両親がアンドロイドを娘の代わりとして迎えたことによって、どのように生活が変化していくのか注目してみよう。

見どころ2 広がる可能性と恐怖
もしも、あなたが大事な人を失ったら悲しみに耐えられるだろうか?しかし、その悲しみはもう必要ないかもしれない。その人の見た目、人格、記憶まで全て人型アンドロイドにデータ移行出来るとしたら?永遠の別れを経験した次の日に家に宅配されるのは、完璧な人工知能によって再現された、あなたの大事な人。しかし、以前と違っているのは、そのアンドロイドはデータベースが持ち得る全ての知識も持っているという事。そして、見た目は完全な人間だからこそ疑問に思う事も増えるだろう。隣に住む「あの人」は人間だろうか、それともアンドロイドだろうか、と。また、人工知能の発達によって人類にもたらせられる他の恩恵もある。それは、仕事の簡単化。面倒なシステム作業だったり、疲労困憊する肉体労働の全てを人工知能ロボットが代わりに、そして完璧にこなしてくれる。しかし、忘れてはいけない。人工知能に仕事の需要が高まるという事は、人間が行う作業に対しては需要が下がるという事を。離職率も現在とは比べ物にならないほどにはねあがるだろう。だがそれは、未来の人間の問題だ、と楽観的に構えるのは危険だ。何故ならば実際に、米国ではこの先20年間で40%もの仕事が人工知能によって占領されるだろうという予測がすでに立っているからだ。科学や人工知能の発達は大いに喜ばしい。我々の生活は楽になり、便利さに至っては過去とは比べ物にならないだろう。しかし、何事も良い面と悪い面は表裏一体だということを、忘れてはいけないのかもしれない。

見どころ3 TOKYO ROBOT
「第1話 シンギュラリティ」のドキュメンタリー部分では、東京も舞台となっている。大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻知能ロボット学研究室の石黒浩教授が、アンドロイド「ERICA(エリカ)」と共に出演しているが、いかに彼の研究が人類全体の将来に貢献しているのかが見ていてよく分かる。驚愕的だったのは、エリカがカナダ人男性と会話をしている時だ。相手がカナダ人と分かった瞬間に、エリカの英語がカナダアクセントへと変化したのだ。なんという柔軟性だろうか。また日系アメリカ人であり、著名な理論物理学者であるミチオ・カクも出演。饒舌に人類の未来について語っている。この番組の面白いところは学者や専門家だけではなくスーパーヒーローものコミックで世界的に有名な「マーベル」社の漫画脚本家や、コメディアン達をもインタビューして、様々な角度から百万年後の世界の可能性に対し、切り込んでいる。

見どころ4 ナレーション
「マトリックス」のモーフィアス役で有名なローレンス・フィッシュバーンがナレーションを担当。声だけの出演にも関わらず、特に未来の人類が対峙するであろう問題などについての説明を読み上げる時の怪演は見事だ。見事に現代に生きる我々の不安を煽っている。そのスタイルが評価され、ローレンス・フィッシュバーンは「イヤーミリオン」で第69回エミー賞(2017年9月17日(現地時間)授賞式)ナレーション部門にノミネートされている。

エピソード

「 シンギュラリティ (原題:Homo Sapien 2.0) 」

神経科学と技術の進歩により、かつてのSF映画に描かれたような世界へと近づき始めている。その世界では、人工知能は人間と区別できないほど高性能になり、それどころか人間を超えるような存在になるかもしれない。それはシンギュラリティという新たな時代であり、人工知能が人間にとって脅威となるか、あるいは協力者となるか、その分かれ道となるだろう。最終的に人間は人工知能と融合し、新たな人類の形が生まれるかもしれない。

「 不老不死 (原題:Never Say Die) 」

科学の発展は目覚ましい。遺伝子の研究が進んだおかげで人体の謎が徐々に解き明かされ、人間は昔よりも健康で長生きできるようになった。将来的には、現在行われているような方法で病気を治療するのではなく、遺伝子レベルで老化作用を治療する日が訪れるかもしれない。今よりもさらに長生きできるようになった未来では、社会の構造や、人の価値観さえも変わるだろう。多くの人が夢見てきた不老不死。やがて人類が行き着く先とは?

「 仮想世界で生きる (原題:Dude, Where's My Body?) 」

現実とは異なる仮想世界を体験できるバーチャル・リアリティー(VR)技術が今、著しい進化を遂げている。VRが作り出す世界はリアルさを増し、現実と仮想の境界線は曖昧に。人間はいずれ肉体を放棄し、仮想世界で一生を送るようになるとも言われる。VR技術の進歩の先にある未来とは? 人間は何を手に入れ、何を失うのだろうか。

「 マインドの融合 (原題:Mind Meld) 」

一世代の間に、勉強の方法や仕事の仕方、意思を伝え自己表現する方法など、現代文化のあらゆる側面がインターネットによって変化してきた。常に人と繋がる環境により、我々のプライバシーに関する概念も影響を受けるだろう。そしてこのテクノロジーが変化を続ければ、人は完全にクラウドと接続した状態になるかもしれない。またそれがテレパシーへと発展すれば、地球外の文明との新しいコミュニケーション手段にもなりうるだろう。

「 宇宙エネルギー (原題:Energy Beyond Earth) 」

エネルギーと資源を過剰に消費した人類は、地球に住み続けることができなくなり、いずれ別の場所への移住を余儀なくされるかもしれない。そうなった場合、移住先の惑星をテラフォーミング、つまり人間が住める環境に開拓する必要が出てくる。その結果、生態系に思わぬ影響を及ぼしかねない。このような人間中心のアプローチは正しいのだろうか? そして人類の他にも、似たような転換期を迎えた異星人がいる可能性はあるのだろうか?

「 遥か宇宙へ (原題:Beyond The Cosmos) 」

好奇心に突き動かされ、未知の物事に挑んできた人類。その飽くなき探究心が、我々を新たな境地へとたどり着かせる。地球で数々の謎が解明されるにつれ、人間はいかに生物学的に適応し、深宇宙を目指すのだろうか? 未来の生活はかつての地球での暮らしと似ているのか、それともまったく新しい生活様式なのだろうか? 体験する現象や目に映る景色は、これまでサイエンス・フィクションで描かれてきた世界に、どの程度近いのだろうか?

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