歴史学者たちは何千もの木製の船が中東から中国に至る海のシルクロードを往来したと想像してきた。白波が立つ海を長距離に渡って勇敢に航海したのだ。そしてその痕跡は、長い年月と深い海が消し去ったと思われていた。ところが1998年、ドイツのエンジニアのティルマン・ウォルターファングが金銀や陶器を大量に積んだ9世紀の難破船を発見。手がかりから難破船の素性を探るうち、我々は「船乗りシンドバッドの冒険」の時代へとタイムスリップしていく。海には壊れた木のボートがマッチ棒のように浮かんでいる。番組では船の設計士や陶器の専門家に話を聞き、難破船から発見された貴重な品々を調べ、9世紀の唐の姿を鮮明に描いて船をよみがえらせる。船に積まれていた宝物はシンガポールの重警備の倉庫に収納されていた。そこで番組では本邦初公開の金銀を含む6万点の宝物を紹介。はるか昔の海洋時代から来たタイムカプセルが、我々に当時の世界を見せてくれる。インドネシアの危険な海峡で早すぎる最後を迎えた船の最後の日々を想像し、古代における世界屈指の貿易ルートとそこを航海した勇敢な人々の謎に迫る。