2部構成のドキュメンタリーのパート1。1944年6月のノルマンディー上陸作戦から、1945年5月のナチス・ドイツ降伏まで、ヨーロッパにおける第二次大戦最後の1年を時系列で追う。この作品では、第二次世界大戦末期のヨーロッパの様子をたどるが、焦点を当てるのは軍の指導者や彼らの戦いだけではない。“無名の人々”つまり歩兵たち、市民、女性や子供などの声を拾い、彼らがいかに言いようのない苦難に耐え、平和な時代を切望していたかを伝える。
連合国軍が悲惨な強制収容所を目の当たりにしている頃、ソ連軍の兵士たちはベルリンに侵攻しようと容赦ない戦いを繰り広げていた。この戦いだけで、ソ連軍は1日あたり1万5000人もの兵士を失った。一方、ナチスの指揮官たちは、若者や老人を含む多数の民兵を動員し、勝利は近いと宣言し続けていた。しかし1945年4月30日、ソ連軍がベルリンの国会議事堂を制圧すると、ヒトラーは地下壕で自殺。ソ連軍はベルリンを陥落させ、組織的に女性たちをレイプした。1945年5月7日~8日、フランスのランスとドイツのベルリンの両都市で、ドイツは降伏文書に調印。1945年のヨーロッパは、広範囲に荒廃が及んでいた。戦闘によって立ち退いたり、国外に亡命したり、強制送還されたりした人々が、何百万人という数で荒れ果てた田舎道をさまよう。その中にはドイツに送られていたフランス人の強制労働者たちもいて、故郷への帰還を目指していた。列車の駅へたどり着いたときの彼らの心境は、言葉では言い表せない。パリで勝利が祝われていた頃、200万人のアメリカ兵はヨーロッパを去り、その多くが太平洋での別の戦いに向かった。その後、広島と長崎への原爆投下により、6000万人という史上最も多くの死者を出した戦争が幕を閉じる。