スリランカの海には驚くほど多様な生物が生息している。マッコウクジラやシロナガスクジラはスリランカ沖で群れを作り、ウミガメは浜辺で産卵する。多くの生物が集まる理由はスリランカの海の豊かさにあり、それを生み出しているのはスリランカ独特のモンスーン気候や島の地形である。モンスーンのもたらす雨が川を流れ、養分を海へ注ぎ込むのだ。豊かな海は大昔から今も変わらず生物の命を育んでいる。
インド亜大陸の南端、インド洋に浮かぶ島国スリランカ。この島の北東部には年一回のモンスーンによって雨期が訪れるが、その後は厳しい水不足が待ち受けている。かつてこの地に栄えた古代王国は乾期に備えて人造湖を造成した。水場に集まる島の王者ヒョウ、スリランカゾウの群れ、猿神の祖先と言われるラングール、空中攻撃で蜂の巣を襲うハチクマなどの姿を通して、美しい湖水の景観とともに厳しい自然を生き抜く動物たちを追う。
どこよりも多様で、特有の生物が暮らす環境がスリランカの高地、“雲の森”に存在する。しかし、紅茶の栽培に適している土地ため、寒冷で多湿なこの森は急速に姿を消しつつあり、何百年も変わらずに存在してきた生物たちの生息環境が分断され、消滅しつつある。生物たちはこの環境に適応しようと戦い続けているが、人類も対策を取らなければこの独特な生物たちは永遠に姿を消すことになってしまう。