世界1、2を争う長さのナイル川。第1話ではアフリカを南北に走る大地溝帯の一部、西リフト・バレーの源流周辺を取り上げる。ルウェンゾリ山地からの雪解け水とルワンダ、ブルンジに降る雨が源流に集まり、やがてナイル川になるのだ。標高の高い山地には巨大な高山植物と鮮やかな鳥。山を下りると常緑の熱帯雨林が広がり、珍しい動植物が数多く生息している。源流を集めるビクトリア湖には多様な進化を遂げた魚シクリッドがいる。
ビクトリア湖を流れ出た水は、マーチソン・フォールズ国立公園に入る。巨大な滝を過ぎると穏やかな川でカバの群れが泳いでいる。その後スーダン南部に広がるスッド湿原に入り、そこから砂漠へ。アフリカ最大級のワニ、食べ物と繁殖地を求めて飛び回る鳥の群れ。照りつける太陽のもと、象たちが水場を目指して大移動する。アフリカの北東部には19世紀、ヨーロッパ人が源流を求めて旅した時から変わらない大自然が今も広がっている。
「アフリカの屋根」エチオピア高原はワリアアイベックスなど希少動物の宝庫だ。そこから流れる水はタナ湖を経てナイル川の最大支流、青ナイル川に集められる。この川が肥沃な土をスーダンとエジプトにもたらし、古代文明の礎となった。そのため青ナイル川周辺には数々の古代遺跡がある。青ナイルと白ナイルはスーダンのハルツームで合わさりナイル川となる。そしてヌビア砂漠を抜けナイルデルタを経て終点の地中海に水を注ぎこむ。