1944年6月5日、史上最大の上陸部隊がイギリス沿岸からフランスに向けて旅立った。ヨーロッパ大陸をナチス・ドイツの支配から解放するためだ。その裏には、連合国軍の総司令官であるアイゼンハワーの苦悩に満ちた決断があった。何十万人もの将兵の命が懸かったその決断を、彼はどのようにして下したのか?一方、ノルマンディーに向かう将兵たちの胸にも様々な思いが去来していた。第二次世界大戦の戦局を決する戦いが今、始まる。
1944年6月6日、連合軍はノルマンディーの海岸を制圧した。ドイツの占領下にあるフランス国民の間に静かな期待が広がる。しかし内陸部への侵攻は遅々として進まなかった。一方、フランスへの帰還を果たしたド・ゴール将軍は一路バイユーに向かう。そこには戦後の主導権争いをにらんだ彼の思惑があった。8月下旬、ついにパリが解放される。史上最大の上陸作戦が終わりを迎え、第二次世界大戦はまた新たな段階に入ろうとしていた。