『D-Day』とは1944年6月6日、米・英・カナダの連合軍がノルマンディー海岸の5つの区域に上陸した日のこと。
1944年6月6日の夜明け、米・英・カナダの連合軍が陸/海/空のあらゆる角度から、フランス北西部のノルマンディー海岸へ史上最大の侵攻をしかけた。ナショナル ジオグラフィック チャンネルが送る『D-Day』は、“ノルマンディー上陸作戦”の勝利を語る上で欠かせない陰の立役者、戦闘マシーンの数々に焦点を当てる。水深の浅い浜辺へ高速のまま侵入することを可能にした舟艇、米国シャーマン製のDD水陸両用戦車、十分とはいえない装備と訓練で空へと飛び出したパラシュート部隊、浜辺に仕掛けられた機雷や地雷を処理しながら前進していく英国製の戦車、敵に気づかれずに空爆を落とすグライダーなど、D-Dayの素早い総攻撃を実現させたマシーンを、製作過程での裏話を含めながら丁寧に紹介していく。また、番組では歴史に残る1944年6月6日という1日を、当時の記録映像や、生存者たちのインタビュー、再現VTRなどで振り返る。戦争の影に隠された真実を明らかにしていく。
連合軍の最高司令官ドワイト・D・アイゼンハワー将軍を中心に3年の歳月をかけて計画し準備された“ノルマンディー作戦”は、50年後の現代においても気が遠くなるほどの大規模だった。連合国から総勢2百万人がイギリスの基地に集まり、戦闘マシーンが全て揃った段階で、慎重に練り上げられてきた計画が実行に移された。7,000隻もの船が上陸し、約16万人の兵士と戦闘員、後方には1万7,000人の落下傘部隊と3,000機による上空援護で一気に襲撃をかけたのだ。
上陸用舟艇の前進を阻むため、ドイツ軍は機雷などの障害物を設営。上陸できた兵士でさえ、何百メートルにもわたって開けた砂浜を進まねばならず、そこには鉄条網や地雷(16万2千個が敷設された)など、命取りの障害物が多数待ち受けていた。行く手には、連合軍を見下ろす位置から砂浜を掃射するために配置されたドイツ軍用の壕もあった。それでも侵攻軍の大半が浜辺を突破し、内陸へ進みD-Dayの夜には海岸を75キロにわたって制圧。大西洋の壁は完全に打ち崩された。また番組の最後には、インタビューに応えてくれたアメリカ、イギリス、そして宿敵ドイツ軍の生存者が、戦争から60年が経った静かなノルマンディー海岸で友好的な握手を交わすシーンもある。