類人猿のオスは、群れのリーダーになることで手に入る利益を求めて他のオスと戦う。だが、常に権力争いをしているのは、我々の“従兄弟"であるチンパンジーに限らない。世界的リーダーの権威を誇示する歩き方や経営トップの支配的な態度、さらには日常的に他人との間に発生する何げない駆け引きに至るまで、人間の世界にもさまざまな権力争いが存在する。第1話では、人間の内部にいまも残る類人猿とよく似た本能や性質を探る。
交尾する相手を見つけたいという欲求は、類人猿のさまざまな行動を駆り立てる。それは、何百万年を経て進化した我々も例外ではない。第2話は、他の霊長類が持つ交配戦略に着目し、人間が似たような傾向をどのようにとどめているか探る。実験の内容を知らされていない被験者に対して一連の社会的行動実験を行い、人間の内側に潜む類人猿の性質を引き出すことにより、霊長類たちの行動と比較する。
高度に社会的な霊長類は、ほとんどが群れで生活をする。集団の一員であることは生き残りの鍵となるため、類人猿は仲間から排除されないよう全力を尽くす。だが、大きな群れで生きていくのは容易ではない。自分の存在を忘れられたり、のけ者にされたりしないよう、良好な関係を構築・維持する知性が必要だ。第3話は、我々が職場で昇進しようとしたり、トラブルから逃れるようとするとき、どのくらい類人猿と似た行動を取るか探る。