南アフリカ共和国には、動物界でも指折りの有能なハンターが生息している。しかしときに、生き延びようとする執念は獲物を捕らえようとする欲求を上回る。チーターを追いかけるヌー、ハイエナを出し抜くイボイノシシ、ライオンを威嚇して黙らせるマングース。今から、獲物の反撃が始まる。
インド洋の深い海から南アフリカのやぶの奥まで、ときに人間は野生動物のなわばりに少し踏み込みすぎる。その時、観光客は予期せぬ盗難に遭い、映画監督はシャチに遭遇する。これから、自然がその本当の姿を見せる。
自然界ではときに、思いもよらぬことが起こる。異形の生き物の存在、トラブルに見舞われる動物、常軌を逸した攻撃などである。これが、奇妙で獰猛な自然の姿だ。
野生の動物たちは、食料やなわばりや家族のために命を懸けて戦う。しかし生き残るのに必要なのは力だけではない。頭脳や、ありきたりだが勇気も必要になる時があるのだ。
野生の動物が戦うのは、生き残るためだけではない。ときには恨みを晴らすために戦うこともある。ハイエナとライオンの長きに渡る戦いから、新たに勃発した兄弟グループ同士の争いまで、動物たちはなわばりや復讐のためなら命を懸けて戦うことをいとわない。そしてときに、最も残忍な戦いは仲間同士の間で起こる。
むき出しの自然は、美しく、それでいて残忍にもなりうる。残酷な死から並外れた勇気、奇跡の誕生まで、アフリカに生きる幼い命の勝利と敗北を紹介する。