サシバの渡り~台湾から日本へ~

原題:Tomb Raptor

番組内容

台湾では昔から、毎年東南アジアで越冬し北へ向かう途中に台湾に渡来するタカは、清明節の間に大甲渓の両側に広がるティエチェン山にやってきて嘆き悲しむのだという言い伝えがある。

北上するタカが台湾中部に渡来する時期が、人々が祖先の冥福を祈る清明節(墓を掃除するので“掃墓節”とも呼ばれる)とおおむね時を同じくするためだ。その鳴き声が悲しげなために、この渡り鳥は毎年清明節にやってきては“泣く”のだと、何世代にもわたって信じられてきた。そのため、台湾では「清明鳥」の愛称で親しまれている。その正体はサシバ。普段は単独で暮らす鳥だが、毎年渡りの時期だけ群れを成す。

彼らは平均時速20~40キロの速さで、台湾中部に達するまでにすでに6時間以上かけて山や海を渡ってくる。
正午ごろに大肚山上空に現れると、すぐに深い森の中で身を守ろうとする。安全そうな場所を見つけると、空からで弾丸のような速さで急降下し、高い木の枝に降り立つ。安全を確認すると枝葉の影に身を隠し、丸まって夜を過ごす。そして天気の良い日を見計らって、日の出とともに5時半ごろには再び渡りを始める。
しかし番組が撮影に成功したその朝は、彼らにとって理想的な風が吹いていたとはいえない。渡りは決してたやすいものではない。
しきりに鳴き声を上げ群れで互いに励まし合いながら必死で空に舞い上がると、繁殖の時期を無事迎えるため、再び日本へと旅立っていく。