インドネシアの東端には、火山の噴火によって形成された島がある。何千年も周囲から孤立してきたその島で、生物たちは私たちの想像を超えた独自の進化を遂げてきた。どの生物も地球上の他の場所では見られない姿をしている。そしてそこには驚くほどさまざまな生物が生息している。古代の様相を残すパプアのロストワールドが支えているのは世界で最も豊かで、最も変わった生態系なのだ。
世界第3位の大きさを誇るボルネオ島と、それに引けを取らないほど大きなスマトラ島。インドネシアの2つの島は、12000年前までアジア本土と陸でつながっていた。氷河期が終わり、海面が上昇したことで、現在の姿になったのだ。周りから孤立してきたどちらの島でも、体の大きな動物たちが島独特の環境に適応すべく、アジア本土の動物とは違う独自の進化を遂げてきた。そして今、島では猛獣たちが悠々と暮らしている。
海に隔てられたいくつもの島が連なるインドネシア中部は、火山帯の肥沃な土壌とモンスーンによる雨で豊かな自然に恵まれ、多様性に富んだ珍しい生き物の宝庫となっている。その頂点に君臨するコモドオオトカゲ、大家族で暮らすクロザル、子育てに励むアカコブサイチョウ、奇妙な牙を持つバビルサ、森のハンターメガネザル―美しい海岸線と豊かに生い茂る熱帯雨林で繰り広げられる時に凄惨で、時にユーモラスな動物たちの営みを紹介。