生きもの地球大紀行
地球のあらゆる場所で繰り広げられる、種の保存をかけた大移動!

第1章から第4章までの本編4話と、科学的な視点から生きものの行動を解き明かす「サイエンス」、ナショジオのクルーたちの撮影舞台裏を映した「メイキング」、そしてオーケストラ演奏による音楽で旅を楽しむ「生命のリズム」の特別編3話から成る、全7話を放送。

7大陸、全20カ国における3年の制作期間を要したこの作品は、150時間以上のヘリ撮影、水中撮影400時間以上、そうして撮影日数800日をかけて、世界中で無数の動物たちが種の存続を懸けて行う、辛く困難な旅路を、陸、空、林、崖、氷盤上や水中からと様々な場所から撮影している。この惑星に棲む様々な動物とその動きが織り成す、困難だが力強い物語を、新たな科学的発見を交えながら、ナショジオ史上最大のスケールと最新技術を駆使した映像でお伝えする。

第1章:移動するために生まれて Born To Move
オオカバマダラ
川を横断中のヌーの群れ。その子供を狙い、目を光らせて忍び寄るワニ。あと1歩で向こう岸に着く!その瞬間、子供はワニの餌食となる。取り乱す母親はなすすべなく立ち去り、食料を得たワニの群れは肉を食いちぎりむさぼりつく・・・
アカガニのマラソン。そこに待ち受けるアシナガキアリの大襲撃。これによって、アリはカニの生息数を8000万匹から5000万匹に減少させたことも。アリは一体どんな方法でカニを仕留めるのか!?
空の旅人たち、オオカバマダラの大群。繊細なチョウにとっては、月まで旅行するに等しい道のりを、羽をボロボロにしながらも進む。その長旅には地図もガイドもない。そのルートは全て、彼らの遺伝子に刻まれているのだ。
大海に響き渡るクリック音。音源は、マッコウクジラである。その音の反響で位置を把握し、赤ちゃんはその音を頼りに母親の位置を追跡する。
アカガニのコミカルなダンス、軽快なリズムは自然界の喜び!

「動物たちにとって大移動は、まさにサバイバル。インド洋のクリスマス島では、アカガニの大移動が目撃される。このディナー皿程度の大きさのカニたちは交尾と産卵のために内陸部の熱帯雨林から海岸へ一斉に移動する。そこにはアシナガキアリとの戦いも待ち受けている。ヌーの子供がワニの餌食に。母親は川岸で、ただ見ていることしかできない。心が痛む映像だ。しかし、480キロも旅するヌーの群れは、それを受け入れるしかない。毎年、ケニアとタンザニアを大移動し、あらゆる所に危険は潜んでいるのだ。北米に生息するオオカバマダラ。この蝶たちは4世代をかけて大移動を行う。そしてマッコウクジラは一生を100万キロ以上も移動して過ごすと言われている。」
第2章:命をつなげるために  Need To Breed
イワトビペンギン
熾烈なゾウアザラシのナワバリ争い。ゴロゴロ・・・と低い威嚇のうなり声を響かせ、3.5トンの巨漢をぶつけ合う。相手の目をつぶし、噛み付き、鼻も首も血まみれになりながら、相手を倒すまで攻撃を続ける。戦いに勝利した少数のオスだけが、メスの群れを独占的に支配する権利を得るのだ。
凶暴なスズメバチの巣に容赦なく襲い掛かるグンタイアリ。巣から幼虫が奪い去られていく様子を、傍観するしかないスズメバチ。
イワトビペンギンの歓喜の舞いは、見るものに微笑みを誘う。
内戦の影響で減少したと考えられていたシロミミコーブの莫大な群れを、何十年かぶりに撮影

「種の繁栄のため、障害を乗り越え、次世代を確かなものにしようと大移動する光景には驚嘆させられる。内戦で荒廃したスーダンではシロミミコーブの群れが健在し、命懸けの、しかし、どこかコミカルな繁殖の儀式が行われていた。ここ30年で初めて確認された歴史に残る映像だ。さらにオーストラリアオオコウモリが子供を抱え、半透明な翼で空へと舞い上がるすばらしい映像も紹介する。コスタリカの熱帯雨林に生息する働き者の軍隊アリ。メスとその子供にあたる20万頭の幼虫は1日に3万ものエサの死骸を必要とする。そしてフォークランド諸島のゾウアザラシ、ペンギン、マユグロアホウドリの驚くべき摂食行動と繁殖行動を紹介。彼らは繁殖のため海から陸へと移動しなくてはならない。」
第3章:生き残りをかけて  Race To Survive
ゾウアザラシ
シマウマの体の縞模様、それは捕食者の目を混乱させる。そしてこの模様を手がかりに、子供は群れの中から母親を探し出す。母親を失った子供を見守る父親の、驚くべき家族愛とは?
時速96キロで疾走するアメリカ最速の陸生動物、プロングホーン。彼らの行く手を阻むのは、人口の障害物。有刺鉄線のフェンスにからまれば命を落とす可能性も・・・彼らの運命は?

「ボツワナ共和国では春を迎えると何百頭ものシマウマの群れが世界最大の内陸デルタを離れ250キロもの長く厳しい大移動を始める。砂に塩分が含まれる砂漠地帯で、彼らの体が必要としているミネラルを取るためだ。映像制作で表彰された経験を持つベバリー&デレック・ジュベール夫妻によって撮影され、全工程が明らかになった。アラスカ沖合では地球温暖化の犠牲者となっているタイヘイヨウセイウチの痛ましい姿が見られる。海氷と共に何百キロも移動して夏のエサ場へ来ていたのに、海氷の減少に伴ってセイウチの生息数に対して十分な広さの氷がなくなり、この限られた地を巡って争いが起きているのだ。未開拓のアメリカ西部には、プロングホーンがたくさんおり、自由に活発に移動していた。今は200頭あまりの小さな群れが彼らの祖先と同じように、春になると南ワイオミングから北へと移動する。雪線の後退に従って移動が行われるが、人間が住み始めたことで厳しい旅がさらに困難なものになってきている。長さ約12メートル、重さ約20トンのジンベイザメは世界最大級の魚。魚の卵を食べるために移動している彼らの姿をとらえた。そしてボルネオ島では、いい香りを放つイチジクの木がサルたちの群れを呼び寄せる。オランウータン、クリイロリーフモンキー、マカクザル、ボルネマン・ギボン。彼らはイチジクが熟して地面に落ちる前にジャングル中を移動して、ごちそうにありつく。」
第4章:食うか食われるか  Feast Or Famine
砂漠ゾウの母親が、2年近くお腹の中で大切に育ててきた子供は、群れにとって、かけがえのない存在。そんな子供がやせ細って動けなくなると、母親や叔母のゾウは、心配そうに励まし続ける。そして、仲間の死に直面したゾウたちの行動は、まるで葬儀をしているよう。深い悲しみまで伝わってくるのだ。
ホホジロザメに襲われた生々しい傷跡を持つキタゾウアザラシたち。群れから遅れたメスは容赦なく襲われ、辺りの海水を血で赤く染めながら食い尽くされる。

「不屈の精神と上品さを持つ砂漠ゾウ。彼らはゾウの中で最も長い距離を移動する。その範囲は西アフリカの内陸国、マリ共和国の中心部から約480キロ圏内。サハラ砂漠の南端を移動し、絶対的に不足している、水とエサを求めて、乾ききった大地を移動し続けることが、彼らが生き残れる唯一の道である。ホホジロザメは、毎年、ハワイから北メキシコまで何千キロも泳いでいる。豊富なエサ場であるメキシコのグアダルペの沖合、約250キロにたどり着くためだ。そこにはマンボウ、イルカ、クジラ、オットセイ、ゾウアザラシなどの海洋生物たちが満ち溢れている。ホホジロザメがオットセイを襲う様子を間近でとらえ、海上と海中から、その詳細が分かる珍しい映像も紹介する。ミシシッピー・バレーは言わば鳥たちのハイウェイだ。ハゲワシ、ハヤブサ、カモ、ツグミ、ガン、ペリカンたちが、メキシコ湾とカナダあるいは北極圏の間にある、この鳥たちの交差点にエサを求めて集まってくる。さらに、光合成のため日の光を求めて浮遊するパラオのとても美しいタコクラゲの映像も紹介する。」
サイエンス Science of Great Migrations (字幕版のみ)
サイエンス
蝶に最初に無線送信機を取り付ける難しさ、送信機の小型化によって何が明らかになったのか?「デイリー・ダイアリー」と呼ばれる特別な発信器を付けることで、暗く冷たい海中を泳ぐゾウアザラシの追跡が可能になった。この発信器には温度、速度、明るさをモニターするセンサーが付いていて、毎年、ゾウアザラシが海中へと姿を消す10ヵ月間、何をしているかを調べるために設計されている。またアフリカ象の研究と保護を一生の使命とする男性、彼は歴史的な洪水で、ほとんどすべてを失っていた。
メイキング Behind the Scenes (字幕版のみ)
メイキング
草原で何年もかけて忍耐強く撮影する様子や、身を守る檻なしでサメと泳ぐ姿。時速96キロの砂嵐に立ち向かったり、スーダンでは、戦争で荒廃し立ち入りを禁じられた地でコーブを探す。ハヤブサのヒナの撮影のため120メートルの崖に吊られたり、ボルネオ島では、木の上で暮らす霊長類の撮影のため、約1ヵ月の間、1日14時間を45メートルの樹上で過ごすことに。さらにはセイウチの撮影のため、北極圏の海氷に取り残されることもある。
生命のリズム Rhythm of Life (字幕版のみ)
オオカバマダラ
生命のリズム(Great Migrations Music Video)はナショナル・ジオグラフィックの前例のない作品である。この作品はナショナル・ジオグラフィックの特集番組「大移動」の最高級の映像と、すばらしいオーケストラ演奏を提供する、ほかには存在しない作品である。映像は3年をかけて世界中から集め、その結果、大変ユニークな、ナレーションの入らない、音楽で旅を楽しむものに仕上がっている。この地球で無数の生き物たちが、群れになって一斉に、行列を作り、泳ぎ、飛んでいる姿は圧倒される光景であり、その大移動は命懸けの旅である。
さかなクン&千石先生
 

1.市川海老蔵吹替版

 

主:市川海老蔵ナレーション
副:英語

英語ナレーションを務めるのは、俳優のアレック・ボールドウィン

市川海老蔵


歌舞伎役者である、十一代目 市川海老蔵がナレーションをつとめる特別版。力強く落ち着いたナレーションで、見るものを壮大な大自然の世界へと引き込みます。

 

2.解説バージョン

 

主:さかなクン&千石先生の解説
副:英語

英語ナレーションを務めるのは、俳優のアレック・ボールドウィン

さかなクン&千石先生


番組解説をしていただいた千石正一先生ご逝去の報に接し、スタッフ一同、謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
(2012年2月)

 

3.字幕バージョン

 

主/副:英

英語ナレーションを務めるのは、俳優のアレック・ボールドウィン

(c)Anup Shah