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THE LIGHT ~中村修二が灯した光

ナショナル ジオグラフィックと、ひかりTVによる、2014年ノーベル物理学賞受賞者の中村修二教授に密着したドキュメンタリー番組「THE LIGHT ~中村修二が灯した光」の4K※映像での共同製作が実現しました。この、日本から世界に発信する意義深い番組はどのようにして生まれたのか? このドキュメンタリーの企画立案者でありエグゼクティブプロデューサーの、株式会社NTTぷらら 代表取締役社長 板東浩二氏へのインタビューと、ナショジオの番組プロデューサーからのコメントです。

※ナショナル ジオグラフィックではハイビジョンでの放送のみとなります。

株式会社NTTぷらら 代表取締役社長 板東浩二 インタビュアー: ナショナル ジオグラフィック 編成部 統括 伊藤由起

ナショナル ジオグラフィックの編成を統括する伊藤由起が、このドキュメンタリーの企画立案者でありエグゼクティブプロデューサーの、株式会社NTTぷらら 代表取締役社長 板東浩二氏に、企画発案の経緯や同じ大学を卒業した中村教授についてなど、いろいろお話しを伺いました。

ナショジオ 伊藤(以下 伊藤):
どのようにして「THE LIGHT ~中村修二が灯した光」の企画発案に至ったのでしょうか?

NTTぷらら 板東(以下 板東):
実は中村教授とは大学(※徳島大学工学部)の同級生で、ノーベル賞を受賞する前から交流がありました。会社(※NTTぷらら)に来て講演してもらったり若い人たちと交流してもらったりして、僕自身も若い人たちも中村教授の話を聞いてすごく刺激を受けまして…。会社が大きくなるにしたがって、保守的になるようなことがあったのですが、中村教授の話を聞くことによってリフレッシュされ、リスクテイクしながらチャレンジをしていきたいという元気をもらいました。

ノーベル賞を受賞された中村教授が、どういう考えの基に青色発光ダイオードの開発に情熱を燃やしてきたのか?発明が社会全体、日本はもとより世界にどれだけ大きなことを与えたのか?そして、どれだけ偉大な研究開発だったのか?ということを身近にいた人間として、ちゃんと伝えられたら…と強く感じました。

ビジネスをやっていて決断する時、採算が合うかどうかということを前提として考えるのですが、でも最終的な決め手は自分が面白いと感じるかどうかです。面白ければやってみようと。そして、日本や日本人が誇れるものや得意なもの、元気を出せるようなものを、1年に1つ作って配信していきたいと考えていました。「ひかりTV 4K」という新しい映像サービスを始めたところでしたので、タイミング的に良かったということもありますね。

ナショナル ジオグラフィックは、世界的に非常に品質の高いドキュメンタリーを作る素晴らしいチャンネルなので、今回、中村教授のドキュメンタリー番組を製作できたことは、とても素晴らしいことだと思っています。このドキュメンタリー番組を、ナショジオによって日本だけでなく、世界に配信できることも意義深いです。

伊藤:徳島大学での同級生時代、中村教授とはどのような関係だったのですか?また、板東さんだからこそ知っている、中村教授の素顔などはありますか?

板東:すごい奴がいるという話は聞いていましたが、名前を知っているくらいで、当時は、ほとんど交流はありませんでした。なぜなら中村さんは一生懸命勉強していまして、僕が学校に行くのは麻雀のメンツを集めたり(笑)、ドライブする友達を見つけに行くときぐらい。中村さんは、「あいつは一体、何をしに学校に来ているのだろう」と思っていたそうです。

2006年、大学の大きな集まりみたいなもので再会して、後日、講演に来てもらいました。講演のあと一時間半ぐらい、会社の若いメンバーと交流してもらったのですが、中村さんが非常にフランクで話も幅が広いんです。意外と。って言ったらあれですけど(笑)。研究の話だけではなく世間一般の話や、若者への期待や幅広い話を面白おかしくしてくれて…。世間一般で言われている人物像とは少し違うかもしれませんね。いい意味で人間臭いというか。

伊藤:ストックホルムでの中村教授のノーベル賞授賞式に立ち会われたということで、印象的だったことなどはありますか?

板東:ストックホルムは世界に通用する商品や製品を作って世界展開するような企業がたくさんある国です。北欧に行ったのは初めてで、一番驚いたのは日が昇ってくるのが9時過ぎで3時頃には沈んじゃうんです。冬は日照時間がわずか6時間くらいしかなく、日本とは大きく違うというのが印象的でした。

そして、誰もが知るノーベル賞。1年に1回、世界的に著名な人を毎年集めるわけです。優秀な人々が集まる中でも、やはり中村教授はたいしたものだなあと思いました。世界のマスコミに対するミーティングや、日本大使館が主催する日本のマスコミとのミーティング、それからストックホルム大学でのプレゼンテーションなどを見てきましたが、堂々とプレゼンテーションをしていて、マスコミへの質疑応答も明確でした。言い方がストレートだったり過激だったりするようなイメージもあるかもしれませんが、中村さんが言っていることは一貫しています。変わらない。その時々によって自分の考えや言い方を変えるのではなく、一貫しているところが改めてすごいと感じました。

伊藤:ひかりTVの板東さんと中村教授、お二方には “光” という共通項がありますね。

板東:そうですね(笑)、そういう意味では中村さんがやったことは大きいと思いますけれども…。信号機、照明、テレビやスマホのバックライト、車のヘッドライトといったものがどんどんLEDに置き換わって、少電量化も長寿命化もされ、世の中を大きく変えました。一番びっくりしたのは、六本木のLED照明です。クリスマスの時とか、人々に感動を与えるとともに、シンボリックなシーンになってきていますよね。LEDじゃないと、あんなにつけっぱなしにできないはずなんです、電力消費量が大きすぎて。

なおかつ、そのLEDの消費効率、その電力消費量、電力消費の効率を上げて、世の中全体の消費量を抑え、CO2問題とか環境保全にも役立つようにやっていきたいということで、LEDの熱変換効率を極力100パーセントに上げようとしています。中村教授も言っていたのですが、LEDよりレーザーの方が、さらに効率がよく、100パーセントに上げられる可能性が理論的にあるらしいです。そのレーザーの研究開発もやっている。社会の役に立ち、世の中を変えられればいいかなあという風にやっているんですね。

我々は規模の差こそあれ、光回線を使った映像配信サービスを、日本の中ではかなり早い段階から取り組んできました。日本にできた光のインフラが世界最先端のインフラになってきていますので、それを活用しながら色んなものを変えていきたいという意味では、近いところがあるかもしれません。

伊藤:最後に、板東さんについてお聞かせください。中村教授と同じく、徳島大学工学部出身ということですが、成功した実業家になるにあたって、工学部という学部は関係しているのでしょうか?成功する秘訣などあればお聞かせください。

板東:工学部ってのは関係ない(笑)。中村さんみたいな人に出会えたというのは非常に良かったなあと思います。ほかにも工学部にいたからこそできた人との繋がりもありますが、今、社長としていろいろな仕事にチャレンジしたり、会社を伸ばしてきたりといったことができたのは、工学部とは違うところにあると思います。

要因はいろいろですが、ひとつは若いときからビジネスをやってみたいという思いがものすごく強く、20代の後半から40代の中盤くらいまで、ビジネス書をものすごく読み漁りました。ビジネスのノウハウ的なものも、もちろん読みましたけれども、一番興味があったのは一代で大きなビジネスを展開しているような人たち。例えば阪急の小林一三とか、東急の五島慶太、西武の堤康次郎。四国の大将と呼ばれた坪内さんって方とか。彼らがどういった発想の基で、どういう行動をしながらやったんだろうか?ということに非常に興味があって、十数年そういった本を散々読みました。

で、その中から得た共通点というのが、人がやってないことに目をつけるということです。皆がこれをやりたいというところではなく、人が見向きもしないところに目をつけて先を見る。リスクが大きくてもチャレンジする。もうひとつは、人の繋がりです。自分ひとりじゃ何も出来ませんから。優秀で面白い人たちを集めるといったところがあるんじゃないかと思います。

ナショナル ジオグラフィック 番組プロデューサー 許 樹人

私たちナショナル ジオグラフィックは、2014年12月のノーベル賞授賞式から、中村修二教授が故郷の愛媛県伊方町に凱旋帰郷した2015年2月までの3か月に渡って取材をさせていただきました。3か月とはいえ、世界を股にかけてご活躍されている方ですので、限られた取材チャンスの中でどれだけ素顔に迫ることができるのか?が勝負でした。

UCSB(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)の校内にはビーチがありました。休み時間に学生たちが一面に広がる青い海で遊ぶ様子にも驚いたのですが、この青い海は、中村教授がUCSBを選んだ理由のひとつでもあり、中村教授の故郷の伊方町も素敵な海が印象的な場所です。きっと海は中村教授にとって発想の源泉なのだろう、と強く感じた瞬間でした。

撮影を重ねる毎に、その場所や人と中村教授の関係に制作側も思いを重ね、さまざまな中村教授の一面を感じることができたのは大変貴重な体験で、是非番組で伝えたいと思いました。とくに徳島大学で恩師の多田修名誉教授と再会されたり、故郷の愛媛県伊方町で、中村教授が幼少時代に過ごした生家跡や思い出の浜辺を訪れたりするなかで、中村教授の表情が穏やかに変化し、心の距離が近づいていくのをレンズを通して、はっきりと感じました。みなさんも番組できっと感じていただけると思います。

番組では中村教授の素顔に迫るだけでなく、青色LEDの発明がもたらした真の意義についても伝えたいと思いました。ただ難しい専門用語が多く、まずは私たちがLEDの仕組み、光る理論を理解する必要がありました。普段の生活の中でLEDは身近で気軽なものになっていますが、その誕生についても番組でわかりやすく伝えることができればと思っています。

そして今回は最先端の4K技術で撮影するという新しいチャレンジもありました。その映像美だけでなく、貴重な対談や普段あまり見ることの出来ない等身大の中村教授を4K技術で記録し将来に残す事ができたことをうれしく思います。

本作品の制作は、株式会社NTTぷらら 代表取締役社長 板東浩二氏のお力添えなくしてはありえなかったでしょう。心から感謝しております。また、無理な密着取材をお願いしても快く承諾してくださった中村教授、出演いただいたみなさま、そしてさまざまなご協力をいただいた関係者の方々に心から感謝いたします。

たった一度きりの人生で中村修二教授が灯した光と、その真の意義。視聴者のみなさまに是非お届けできればと思っております。

※ナショナル ジオグラフィックではハイビジョンでの放送のみとなります。